品質管理

CTQとは|重要品質特性の決め方と実例

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この記事でわかること

  • CTQ(重要品質特性)とは何か、なぜ必要なのか
  • VOC(顧客の声)を測定できる特性に落とし込む4ステップとCTQツリー
  • 良いCTQと悪いCTQの見分け方、QFDや狩野モデルとの関係

📌 前提知識:シックスシグマとは|DMAICと使う統計手法を読んでいると理解しやすくなります

改善プロジェクトの初回会議で「顧客満足度を上げる」という目標が掲げられたものの、次の会議で「で、何を測るんでしたっけ」と全員が黙る。よくある光景です。目標が言葉のままだと、現状把握のしようがなく、改善したかどうかも判定できません。

この「あいまいな要求を、測れる特性に翻訳する」作業がCTQ(Critical To Quality=重要品質特性)の設定です。シックスシグマのDefineフェーズで最初にやる仕事であり、ここを外すとその後の測定も分析もすべて的外れに終わります。

CTQを決める場面

CTQの設定が必要になるのは、次のような場面です。

  • 改善プロジェクトの目標を決めるとき(何をいくつにするのかを確定させる)
  • 顧客の要求が言葉でしか来ていないとき(「もっと丈夫に」「使いにくい」)
  • 設計の要求仕様を工程の管理項目に落とすとき

NG例(△): すでに管理項目と規格値が明確に決まっていて、関係者の認識も揃っている場合は、あらためてCTQを設定し直す必要はありません。「寸法12.0±0.1mmを守る」で全員が動けるなら、それがすでにCTQです。形式を整えること自体が目的になると、ただの時間の無駄です。

CTQとは|顧客の要求を測れる形にする

CTQは、顧客にとって重要な要求のうち、測定できる形まで具体化した品質特性を指します。押さえるべき条件は3つです。

  • 測定できる:数値で取れる。誰が測っても同じ値になる
  • 目標値と許容範囲がある:「良い/悪い」の線が引かれている
  • 顧客の要求とつながっている:改善すると顧客にとっての価値が上がる

3つ目が抜けやすいところです。測れて規格もあるが、良くなっても顧客には何も関係ない特性を追いかけてしまうと、工数だけ使って評価されない結果に終わります。品質とは|定義とねらい・できばえの品質で扱った「要求品質」を、測定可能な言葉に置き換えたものがCTQだと考えると位置づけがはっきりします。

CTQの決め方4ステップ

言葉から数値へ、段階的に降ろしていきます。

  1. 顧客の声(VOC)を集める:クレーム内容・営業経由の要望・返品理由など、生の言葉のまま集める。この加工していない声をVOC(Voice of Customer)と呼ぶ
  2. 要求の中身に翻訳する:「使いにくい」が何を指すのかを掘る。開けにくいのか、重いのか、表示が読めないのか
  3. 測定できる特性に置き換える:「開けにくい」→ 開封に必要な力(N)
  4. 目標値と許容範囲を決める:既存品の実測値・競合品との比較・顧客との合意から線を引く

ステップ2を飛ばして、いきなり「声」から「数値」に飛ぶと解釈がずれます。「使いにくい」を勝手に重量の問題だと決めつけて軽量化したが、実際の不満は表示の読みにくさだった、という取り違えは珍しくありません。

CTQツリーで展開する

この4ステップを枝分かれの図にしたものがCTQツリーです。左から右へ、抽象的な声を具体的な特性へと段を追って展開します。3階層で考えます。

  • VOC(顧客の声):生の言葉そのまま。「フタが固くて開けられない」
  • CTQドライバー:声の背後にある要求の要素。「弱い力でも開く」
  • CTQ:測定できる特性と目標値。「開封力3.5N以下」

実際に展開すると次のような形です(目標値は例)。

VOC(顧客の声) CTQドライバー CTQ
フタが固くて開けられない 弱い力でも開く 開封力 3.5N以下
フタが固くて開けられない 手が滑らない つまみ部の幅 20mm以上
保管中に中身が漏れた 密閉が保たれる 密封強度 15N以上

ツリーにする利点は、1つの声から複数のCTQが枝分かれする場合に取りこぼしを防げる点です。上の例では「開けられない」という1つの声から、力の問題と滑りの問題という別々の特性が出ています。片方だけ対策しても不満は残ります。

逆に、真ん中のドライバーの段を飛ばして声から直接CTQへ線を引くと、枝分かれに気づけません。ステップ2を飛ばすなという話は、ツリーで見ると視覚的にはっきりします。

実例|「開けにくい」を測れる形にする

食品容器のフタについて「高齢の利用者から開けにくいという声がある」というクレームが来たとします。4ステップで降ろします。

ステップ 内容
①顧客の声 「フタが固くて開けられない」
②要求の中身 力の弱い人でも片手で開封できること
③測定できる特性 開封力(N)=CTQ
④目標値と許容範囲 上限規格 3.5N以下

CTQが「開封力3.5N以下」と決まれば、以降の進め方が具体化します。現状の工程で20個を測ったところ、平均2.8N・標準偏差0.25Nだったとします。上限規格しかない片側規格なので、工程能力は次の式で確認します。

\[C_{pu} = \frac{USL – \bar{x}}{3\sigma}\]

ExcelではSTDEV.S関数とAVERAGE関数で平均と標準偏差を求め、この式に当てはめます。

=(3.5-AVERAGE(B2:B21))/(3*STDEV.S(B2:B21))

実際の数値を入れると次のとおりです。

\[C_{pu} = \frac{3.5 – 2.8}{3 \times 0.25} = \frac{0.7}{0.75} \approx 0.93\]

目安とされる1.33を下回るため、「規格は満たしているが余裕がなく、ばらつき次第で規格外が出る状態」だと判定できます。ここまで来て初めて、Measureフェーズの現状把握が終わった状態です。判定基準の詳細は工程能力指数の目安一覧で解説しています。

「開けにくいという声がある」から始まった話が、「Cpu 0.93を1.33以上にする」という検証可能な目標に変わりました。これがCTQを設定する意味です。

良いCTQと悪いCTQ

設定したCTQが機能するかどうかは、次の観点で見分けられます。

観点 良いCTQ 悪いCTQ
測定 開封力3.5N以下 開けやすいこと
判定 誰が測っても同じ結果 評価者によって割れる
顧客との接続 クレーム内容に直結 社内都合の指標

特に注意したいのが、官能検査に頼る特性をそのままCTQにしてしまうケースです。「見た目のきれいさ」のような特性は、測定者によって判定が割れます。どうしても官能評価が必要な場合は、限度見本を用意して判定基準を揃えたうえで、ゲージR&Rで判定のばらつき自体を確認しておきます。測定が信用できないままでは、その後の分析がすべて崩れます。

QFD・狩野モデルとの関係

CTQの考え方は、日本の品質管理で使われてきた手法と重なる部分があります。

QFD(品質機能展開)は、要求品質を品質特性に変換して品質表にまとめる手法です。やっていることはCTQの設定とほぼ同じで、QFDのほうが変換の過程を表の形で体系的に扱います。すでにQFDを回している組織なら、品質表の中の重要度が高い品質特性がそのままCTQの候補です。

また、どの要求を優先するかの判断には狩野モデルが役立ちます。当たり前品質に該当する要求は、満たしても評価されませんが欠けると不満が出るため、CTQとして必ず押さえる対象です。一方、魅力的品質の要求は差別化につながるCTQの候補です。

よくある質問

Q. CTQはいくつまで設定してよいですか?

1つのプロジェクトで追いかけるのは1〜3個までが現実的です。多すぎると測定の手間が膨らみ、どれを優先するかで判断が止まります。候補が多い場合は、パレート図でクレーム件数や損失金額の大きい順に並べて、上位に絞り込みます。

Q. 顧客の声が手元にない場合はどう決めますか?

直接の声がなくても、クレーム記録・返品理由・保証費用のデータが要求の代わりを果たします。それも乏しい場合は、営業や品質保証部門への聞き取りから始めます。ただし社内の推測だけで決めたCTQは外れる可能性があるため、後から実際の顧客反応と突き合わせて見直す前提で進めます。

Q. CTQと管理項目は同じものですか?

近いものですが、視点が異なります。CTQは顧客の要求から降りてきた「守るべき特性」、管理項目は工程で日々監視する項目です。CTQを工程で守るために、それに影響する工程条件を管理項目としてQC工程図に落とし込む、という関係です。

まとめ

  • CTQは、顧客の要求を測定できる形まで具体化した品質特性
  • 条件は3つ。測定できる/目標値と許容範囲がある/顧客の要求とつながっている
  • 決め方は4ステップ。VOCを集める→要求の中身に翻訳→測れる特性に置換→目標値を決める
  • VOC→CTQドライバー→CTQの3階層で展開するCTQツリーを使うと、1つの声から枝分かれする特性を取りこぼさない
  • QFDの品質表・狩野モデルの分類は、CTQを決める際にそのまま使える

顧客の要求が言葉のままなら翻訳から、すでに数値で管理できているならCTQの設定は不要、という判断です。設定したCTQで現状を測る段階に進んだら、工程能力指数(Cp・Cpk)の計算が次の一歩です。さらに体系的に学びたい方向けに、レベル別のおすすめ書籍を統計学・実験計画法のおすすめ本まとめで紹介しています。

※ シックスシグマ(Six Sigma)は Motorola, Inc. の登録商標です。本記事は手法の解説を目的とした第三者による情報提供であり、同社および各認定機関とは関係ありません。

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