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QC7つ道具の使い方と選び方|製造業向け解説

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この記事でわかること

  • QC7つ道具それぞれの目的と使い分けの基準
  • データ収集フェーズ・分析フェーズでの活用の流れ
  • チェックシート・特性要因図・層別のExcelでの実践手順
  • 7手法を組み合わせた問題解決のステップ

📌 パレート図の詳細な作成手順はExcelでパレート図を作る方法で解説しています

射出成型ラインの週次レビューで、不良率が前月の0.8%から2.1%に跳ね上がっていた。「なんとなく加工条件が不安定な気がする」という感覚はあるが、どこから手をつければいいかわからない。こういった現場の問題に、QC7つ道具が有効だ。

QC7つ道具は、データを使って問題を「見える化」し、原因を絞り込み、再発を防ぐための7種類の手法の総称だ。特別な統計ソフトは不要で、ExcelとA4の記録用紙があれば現場で即使える。この記事では7手法の目的・使う場面・Excelでの実践方法を、自動車部品ラインの不良低減を例に解説する。

QC7つ道具を使う場面

QC7つ道具が特に力を発揮するのは、以下の場面だ。

  • 不良率・クレームが増加しているが、原因が特定できていない
  • 改善活動を始めたいが、どこに集中すべきかわからない
  • 工程が安定して管理されているか継続的に確認したい
  • QCサークル活動や改善提案のデータ根拠を作りたい

反対に、複数の因子が複雑に絡み合っていて効果の大きさを定量評価したい場面では、実験計画法や多変量解析が適している。QC7つ道具は「何が問題か・どこで起きているか」を絞り込む段階で使い、定量的な要因解析は別の手法に引き継ぐイメージで使う。

QC7つ道具の全体像

7つの手法を目的別に整理すると、以下のとおりだ。

手法 主な目的 使うフェーズ
①チェックシート 不良・事象の記録と集計 データ収集
②層別 条件別にデータを分けて比較 データ整理
③ヒストグラム 分布・ばらつきの確認 データ分析
④パレート図 問題の優先度を決める 優先度決定
⑤特性要因図 原因を体系的に洗い出す 原因分析
⑥散布図 2変数の関係(相関)を確認 関係性確認
⑦管理図 工程の異常を早期に検出 工程管理

「データを集めて全体を把握する(①②③)→優先度の高い問題を選ぶ(④)→原因を特定する(⑤⑥)→改善後に工程を維持する(⑦)」という流れで使うのが基本だ。

データ収集・整理フェーズの3手法

①チェックシート

チェックシートは、不良・事象の発生件数を決まった形式で記録する表だ。「どの不良が・いつ・何件発生したか」を効率的に収集し、その後のパレート図・ヒストグラム作成に使うデータを準備する。

以下は自動車部品ラインで1週間記録したチェックシートの例だ。

不良モード 合計
外観キズ 3 5 4 6 3 21
寸法不良 2 3 2 2 1 10
バリ 1 2 3 1 2 9
打痕 0 1 1 0 1 3
その他 1 0 1 0 0 2
合計 7 11 11 9 7 45

Excelで作る場合、各曜日列にデータを入力し、合計列に =SUM(B2:F2) を使う。日次合計行は =SUM(B2:B6) で求める。チェックシートのポイントは「記録と集計を同時に設計すること」だ。最初からExcel形式で作れば後からの転記作業がなくなる。

②層別

層別は、データを条件(機械・作業者・時間帯・材料ロットなど)ごとに分けて比較する手法だ。全体データを一括で見ると埋もれていた原因が、条件別に分けることで浮かび上がる。

先ほどのチェックシートデータを機械別に層別した結果が以下だ。

機械 外観キズ 寸法不良 その他 合計 全不良に占める割合
機械A(金型#3) 15 7 3 25 55.6%
機械B 4 2 6 12 26.7%
機械C 2 1 5 8 17.8%

機械Aが全不良の55.6%(25/45件)を占め、他の2台と大きく差がある。「全体の問題」から「機械A・金型#3の問題」へ原因の仮説が絞られた。

Excelで集計する場合、データに「機械」列を追加してピボットテーブルを使うのが最も効率的だ。Excel 365では =FILTER(C2:C46, A2:A46="機械A") で特定機械のデータを抽出できる。

③ヒストグラム

ヒストグラムは、連続データ(寸法・重量・強度など)の分布とばらつきを棒グラフで視覚化する。平均値だけでは見えない「分布の偏り・二山・外れ値の存在」を一目で把握できる。

具体的な使い場面:

  • 寸法データが規格内に収まっているかの確認
  • ばらつきの大きさが許容できるレベルかの評価
  • 正規分布から大きく外れていないかのチェック(工程能力計算の前段階)

ExcelではFREQUENCY関数を使って度数分布を集計する。B列にデータ、E列に階級上限値を並べ、F列に以下を配列数式として入力する。

=FREQUENCY(B2:B51, E2:E6)   ← Ctrl+Shift+Enterで配列入力(Excel 365ではEnterのみ)

ヒストグラムの詳細な作成手順(分析ツールを使う方法・グラフの調整)はExcelでヒストグラムを作るやり方で解説している。工程能力指数(Cp・Cpk)の計算に進む場合は、工程能力指数の計算手順もあわせて参照してほしい。

原因分析・工程管理フェーズの4手法

④パレート図

パレート図は、問題の原因を件数の多い順に並べ、累積比率を折れ線で重ねた複合グラフだ。「上位20%の原因が全体の80%を引き起こす」というパレートの法則を活用し、改善活動の集中先を決める。

チェックシートのデータをパレート図に整理すると以下になる。

順位 不良モード 件数 累積件数 累積比率
1 外観キズ 21 21 46.7%
2 寸法不良 10 31 68.9%
3 バリ 9 40 88.9%
4 打痕 3 43 95.6%
5 その他 2 45 100.0%

上位3モード(外観キズ・寸法不良・バリ)の累積比率は88.9%。改善活動はまずこの3モードに集中すべきだ。

累積比率の計算式:

\[ \text{累積比率(\%)} = \frac{\text{累積件数}}{\text{総件数}} \times 100 \]

Excelでは次の数式で計算する(C列:件数、D列:累積件数、E列:累積比率)。

D2 =C2
D3 =D2+C3   (以下コピー)
E2 =D2/SUM($C$2:$C$6)*100   (以下コピー)

棒グラフと折れ線の複合グラフの作成手順はExcelでパレート図を作る方法で詳しく解説している。

⑤特性要因図(フィッシュボーン図)

特性要因図は、問題(特性)と原因の関係を魚の骨状に整理した図だ。1953年に石川馨氏が考案したことから「石川ダイアグラム」とも呼ばれる。チームでブレインストーミングをしながら原因候補を体系的に洗い出す場面に特に有効だ。

基本構造は次のとおり。

  • 右端の「頭」:解決したい問題(例:外観キズの多発)
  • 中央の「背骨」:頭から左に伸びる主軸の矢印
  • 「大骨」:主要な原因カテゴリ(4M:Man・Machine・Method・Material)
  • 「小骨」:各カテゴリに紐づく具体的な原因候補

外観キズを問題として4Mを整理した例だ。

大骨(4M) 原因候補(小骨)
Man(人) 新人作業者の担当日が集中している、引き継ぎ手順が不統一
Machine(機械) 機械Aの金型#3の摩耗、クランプ圧のばらつき
Method(方法) 離型剤の塗布量が不統一、冷却時間が短縮されている
Material(材料) 樹脂ロットの切り替えタイミングと不良増加が一致している

層別の結果(機械Aが突出)と照合すると、「Machine:金型#3の摩耗」が最有力候補として浮かぶ。特性要因図で洗い出したら、各原因候補を実際に確認・測定して絞り込む。

Excelで作成する場合は「挿入→図形」の矢印と吹き出しを組み合わせると作れるが、現場ではホワイトボードや付箋紙を使うことが多い。

⑥散布図

散布図は、2つの変数の関係(相関)を点でプロットして視覚化する。「加工温度が上がると不良率が増えるか」「特定の要因と結果に関係があるか」を視覚的に確認する。

特性要因図で「金型温度のばらつき」が候補に挙がった場合、金型温度(x軸)と外観キズ発生率(y軸)の散布図を描く。右上がりの傾向(正の相関)があれば、温度管理の改善が有効な対策になる。

相関の強さを数値で確認するにはピアソンの相関係数を使う。

\[ r = \text{CORREL}(x\text{範囲},\ y\text{範囲}) \]

Excelでは次の関数で計算できる。

=CORREL(A2:A21, B2:B21)   ← A列:金型温度、B列:不良率

散布図の作成手順と相関係数の読み方はExcelで散布図を作る方法で解説している。

⑦管理図

管理図は、工程が安定した状態にあるかを時系列で継続的に監視する手法だ。中心線(CL)・上方管理限界(UCL)・下方管理限界(LCL)の3本の線を引き、測定値がその範囲内に収まっているかで工程の安定性を判断する。

改善後の「維持管理フェーズ」で使うことが多い。「改善して不良率は下がったが、また戻っていないか」を定期的に確認するのが主な目的だ。

引張強度(MPa)の管理図を例に計算手順を示す。

測定値(n=10):452, 448, 455, 447, 453, 450, 456, 449, 451, 454

\[ \bar{x} = \frac{\sum x_i}{n} = \frac{4515}{10} = 451.5 \text{(MPa)} \]

\[ s = \sqrt{\frac{\sum(x_i – \bar{x})^2}{n-1}} = \sqrt{\frac{82.5}{9}} \approx 3.03 \]

管理限界の計算:

\[ \text{UCL} = \bar{x} + 3s = 451.5 + 3 \times 3.03 = 460.6 \]
\[ \text{LCL} = \bar{x} – 3s = 451.5 – 3 \times 3.03 = 442.4 \]

Excelでは以下の数式で求められる。

=AVERAGE(B2:B11)                            ← 中心線(x̄)
=STDEV.S(B2:B11)                            ← 標準偏差(s)
=AVERAGE(B2:B11)+3*STDEV.S(B2:B11)         ← UCL(上方管理限界)
=AVERAGE(B2:B11)-3*STDEV.S(B2:B11)         ← LCL(下方管理限界)

測定値が全てUCL〜LCLの範囲内にあれば工程は安定している。範囲を外れる点が1つでもあれば「異常原因による変動」として原因を調べる。X-R管理図の詳細な作成手順は管理図(X-R管理図)の作り方と見方で解説している。

まとめ

QC7つ道具のキーポイントをまとめる。

  • QC7つ道具は「データ収集→整理→分析→管理」の流れで使う7手法の総称
  • チェックシートで「何が・何件起きているか」を記録し、層別で「どこで起きているか」を絞り込む
  • パレート図で優先度を決め(上位3項目で88.9%など)、特性要因図で4Mの原因候補を体系的に洗い出す
  • 散布図で要因と結果の相関を確認し、改善後は管理図でUCL/LCLを設定して工程を維持する
  • すべてExcel標準機能で作成可能。特別な統計ソフトは不要

使い分けの一言まとめ:問題の把握はチェックシート→層別→パレート図の順、原因特定は特性要因図→散布図の順、改善維持は管理図で。

各手法の詳細な作成手順は以下の記事で解説している。

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