この記事でわかること
- QC工程図(QC工程表)の役割と、工程図記号の意味
- 管理項目と点検項目の違い、管理水準・管理方法の決め方
- QC工程図の作り方の手順と、FMEA・管理図との連携
📌 関連記事:設計段階で故障リスクを洗い出すFMEAの結果を、現場の管理に落とし込むのがQC工程図です
「ベテランが休むと不良が増える」——同じ製品をつくっているのに、人によって品質がばらつく。その原因の多くは、どの工程で何をどう管理すべきかが、個人の頭の中にしかないことにあります。これを一枚の表に書き出し、だれが作業しても同じ品質を作り込めるようにする文書がQC工程図です。
QC工程図(QC工程表、QC process chart)は、原材料から完成品までの各工程について、管理すべき品質特性とその管理方法を工程の流れに沿って一覧にしたものです。この記事では、工程図記号の意味から、管理項目の決め方、作成手順までを部品加工の例で見ていきます。
QC工程図を使う場面
QC工程図は、工程ごとの品質の作り込み方を標準化し、だれが見ても同じ管理ができるようにしたいときに使います。次のような場面が代表的です。
- 新製品の量産を立ち上げ、各工程の管理方法を決めるとき
- 工程の品質を安定させ、作業者による品質のばらつきを防ぎたいとき
- 不良が出たとき、どの工程の何を見直すかを素早く特定したいとき
つくり方を作業者に伝える「作業標準書」が一つひとつの作業の手順書だとすれば、QC工程図は工程全体を俯瞰し、どこで何を管理するかを示す全体地図にあたります。
工程図記号と基本構成
QC工程図は、工程の流れを記号で示し、各工程に管理の情報を付けて作ります。工程の流れにはJIS Z 8206の工程図記号を使うのが一般的です。
- ○ 加工……形や性質を変える作業(切削・熱処理など)
- ⇒ 運搬……モノを次の工程へ移動させる
- ▽ 停滞・貯蔵……仕掛品や製品が滞留・保管される
- ◇ 品質検査/□ 数量検査……品質や数量を確認する
この流れに沿って、工程ごとに「何を管理するか(管理項目)」「どの範囲に収めるか(管理水準)」「どう確認するか(管理方法)」を表の列として並べます。記号で工程を整理する考え方はQC七つ道具の流れ図とも共通します。
管理項目と点検項目の違い
QC工程図でつまずきやすいのが、何を管理対象にするかです。ここで区別したいのが、管理項目と点検項目の違いです。
- 管理項目……仕事の結果を見る項目(例:寸法、硬度、不良率)。品質特性そのもの
- 点検項目……結果を生む要因・条件を見る項目(例:加工温度、刃物の摩耗、設備の圧力)
結果(管理項目)だけを見ていると、不良が出てから気づくことになります。良い品質を「結果」として安定させるには、その原因となる「要因(点検項目)」を工程の中で押さえることが重要です。結果と要因のつながりを整理するには特性要因図が役立ちます。
QC工程図の作り方
金属部品の加工を例に、作成の手順を見ていきます。
- 工程を洗い出す……受入から出荷まで、工程を順に並べる(受入→切削→熱処理→検査→出荷)
- 管理項目・点検項目を決める……各工程で品質に効く特性と、その要因を選ぶ
- 管理水準を決める……規格値や狙い値を、測定できる数値で設定する
- 管理方法を決める……だれが・どの頻度で・どの帳票に記録するかを定める
- 異常時の処置を決める……基準を外れたときの連絡・処置の流れを書く
これを表にまとめたものが、次のQC工程図です。
| 工程 | 管理項目(点検項目) | 管理水準 | 管理方法 |
|---|---|---|---|
| 受入 | 材料の硬度 | 規格内(ロット検査) | 抜取検査・成績書照合 |
| 切削 | 外径寸法(刃物摩耗) | φ20.0±0.1mm | X-R管理図・2時間ごと |
| 熱処理 | 硬度(炉内温度) | HRC55〜60 | 全数測定・記録 |
| 検査 | 外観・寸法 | 限度見本内 | 全数目視+ゲージ |
管理方法の欄では、ばらつきを継続的に監視する工程にX-R管理図を、受入や出荷の合否判定に抜取検査を割り当てるのが定石です。記録の様式にはチェックシートを使うと、点検項目を漏れなく残せます。
FMEA・工程能力との連携
QC工程図は、単独でつくるものではありません。設計・量産準備の段階で行うリスク評価の結果を受けて作成すると、管理の重点がはっきりします。
- FMEAとの連携……工程FMEAで「起きると影響が大きい故障」が特定された工程は、QC工程図でも重点管理項目として管理方法を厳しくする
- 工程能力との連携……管理水準を満たせているかは工程能力指数(Cp・Cpk)で評価する。一般にCpk≧1.33が確保できる工程を目安に管理方法を決める
FMEAが「どこが危ないか」を洗い出す設計側の手法だとすれば、QC工程図はその対策を「現場でどう管理するか」に落とし込む実行側の文書です。両者をつないでこそ、品質が工程の中で作り込まれます。
まとめ
QC工程図のポイントを整理します。
- QC工程図は、工程の流れに沿って管理項目・管理水準・管理方法を一覧にした、プロセス保証の文書
- 管理項目は「結果」、点検項目は「要因」。要因を工程内で押さえることで、結果としての品質を安定させる
- FMEAで重点工程を特定し、管理図・抜取検査・工程能力指数とつないで管理方法を決める
QC工程図はプロセス保証の中核です。新製品開発側の品質保証はFMEAを、QC検定2級 実践編での品質保証分野の位置づけはQC検定2級 実践編の攻略ロードマップで確認できます。

