この記事でわかること
- 品質の定義と、品質を考えるときの基本の視点
- ねらいの品質(設計品質)とできばえの品質(製造品質)の違い
- 要求品質・品質要素と、マーケットインの顧客指向
📌 関連記事:満足度の観点で品質を分類する狩野モデルとあわせて読むと、品質の概念がつかめます
「この製品は品質が良い」と言うとき、その「品質」とは何を指しているでしょうか。頑丈さなのか、使いやすさなのか、それとも図面どおりに作られていることなのか。人によって思い浮かべるものが違うと、品質の議論はかみ合いません。まずは品質という言葉を整理することが、品質管理の出発点です。
品質とは、製品やサービスが顧客の要求やニーズをどれだけ満たしているか、その程度を表す言葉です。この記事では、品質の定義と、設計と製造それぞれの品質、顧客を起点に品質を考える視点、そしてQC検定での問われ方までを整理します。
品質の考え方を学ぶ場面
品質の概念は、「良い品質とは何か」を組織で共通の言葉にしたいときの土台です。次のような場面で必要になります。
- 設計部門と製造部門で「品質」の認識をそろえたいとき
- 顧客の要求を、何を作り込むかという形に落とし込みたいとき
- QC検定3級・2級の実践編(品質の概念)を対策するとき
品質管理のすべての手法は「良い品質を効率よく実現する」ためにあります。その「良い品質」の中身を押さえるのが、この分野です。
ねらいの品質とできばえの品質
品質は、設計の段階と製造の段階で分けて考えます。この2つを区別するのが、品質の概念の出発点です。
| 区分 | 意味 | 言い換え | 例 |
|---|---|---|---|
| ねらいの品質 | 設計で目標として狙った品質 | 設計品質 | 外径20mmと設計で決める |
| できばえの品質 | 実際に作られた製品が設計品質にどれだけ合っているか | 製造品質・適合の品質 | 製品が実際に20mmに近いか |
ねらいの品質が高くても、できばえが伴わなければ良い製品にはなりません。逆に、できばえが完璧でも、ねらい自体が顧客の要求とずれていれば意味がありません。両方がそろって、はじめて顧客は品質に満足します。できばえの品質を工程で安定させる手法がQC工程図や工程能力の管理です。
現場での例:高精度が選ばれなかった部品
ある部品メーカーが、競合より高い加工精度を売りにした部品を開発しました。できばえの品質は申し分なく、設計どおりの精度を安定して実現していました。ところが、思うように受注が伸びませんでした。
理由は、顧客がそこまでの精度を求めていなかったことです。過剰な精度のぶんコストが上がり、「必要十分な精度を安く」という顧客の要求から外れてしまったのです。これは、できばえの品質は高くても、ねらいの品質(何を目指すか)が顧客の要求とずれていた例です。品質は「作り手が良いと思うもの」ではなく「顧客の要求を満たすもの」だと示す典型例といえます。
要求品質とマーケットイン
品質を考える起点は、つねに顧客です。顧客が求める品質を要求品質と呼び、それを「軽さ」「静かさ」といった性質に分解したものを品質要素と呼びます。
ここで大切なのが、品質を考える姿勢です。作り手の都合や技術を優先する考え方をプロダクトアウト、顧客の要求を起点に何を作るかを決める考え方をマーケットインと呼びます。品質管理では、顧客の要求を出発点とするマーケットイン(顧客指向)が基本です。集めた要求品質を設計の品質特性へ変換する手法がQFD(品質機能展開)です。
いろいろな品質の見方
品質には、ほかにもいくつかの見方があります。
- 当たり前品質と魅力的品質……満足度への効き方による分類。詳しくは狩野モデルで解説
- サービスの品質……品質は形のある製品だけでなく、接客や対応などサービスにも存在する
- 広義の品質……製品単体だけでなく、価格・納期・安全・環境までを含めて品質ととらえる考え方
品質は一面的なものではありません。誰にとっての、どの段階の品質を話しているのかを意識すると、議論がぶれなくなります。
QC検定での出題ポイントと例題
品質の概念は、QC検定3級・2級の実践編で問われます。出題されやすいのは次の3点です。
- ねらいの品質(設計品質)とできばえの品質(製造品質)の区別
- マーケットインとプロダクトアウトの違いと顧客指向
- 要求品質・品質要素・ねらい/できばえなどの用語の意味
例題:次の説明にあてはまる用語を答えなさい。
「設計の段階で目標として定めた品質」
解答・解説:答えはねらいの品質(設計品質)です。これに対して、実際に製造された製品が設計どおりにできているかを表すのが「できばえの品質(製造品質・適合の品質)」です。「設計=ねらい」「製造=できばえ」とセットで覚えておくと、用語問題で迷いません。
よくある質問(FAQ)
Q. 品質とは何ですか?
製品やサービスが、顧客の要求やニーズをどれだけ満たしているか、その程度を表す言葉です。品質管理では顧客を起点に品質を考えます。
Q. ねらいの品質とできばえの品質の違いは何ですか?
ねらいの品質は設計で目標として狙った品質(設計品質)、できばえの品質は実際に作られた製品が設計どおりにできているか(製造品質・適合の品質)です。両方がそろって顧客が満足する品質になります。
Q. マーケットインとプロダクトアウトの違いは何ですか?
マーケットインは顧客の要求を起点に何を作るかを決める考え方、プロダクトアウトは作り手の都合や技術を優先する考え方です。品質管理ではマーケットイン(顧客指向)が基本です。
Q. 要求品質と品質要素とは何ですか?
要求品質は顧客が求める品質、品質要素はそれを「軽さ」「静かさ」などの性質に分解したものです。要求品質はQFDで設計の品質特性へ変換します。
まとめ
品質の概念のポイントを整理します。
- 品質とは、製品やサービスが顧客の要求をどれだけ満たしているかの程度
- ねらいの品質(設計)とできばえの品質(製造)の両方がそろって、顧客の満足する品質になる
- 品質は顧客起点で考える(マーケットイン)。要求品質を品質要素へ分解し、設計へつなぐ
品質の概念は実践編の土台です。満足度による品質の分類は狩野モデル、要求品質を設計に変換する手法はQFD、実践編全体の学習順はQC検定2級 実践編の攻略ロードマップで確認できます。

