分散分析法(Excel)

交互作用とは|主効果との違いと交互作用図の読み方

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この記事でわかること

  • 交互作用の意味と、主効果との違い
  • 交互作用図(折れ線グラフ)の読み方と作り方(Excel対応)
  • 交互作用があるとき・ないときの判断と、検定につなげる流れ

📌 前提知識:因子と水準の決め方を読んでいると用語がつかみやすくなります

触媒Xから触媒Yに変えたら収率が上がった。ところが別のラインで同じ変更をしたら、逆に収率が下がった。「どちらかの実験がおかしい」と疑いたくなりますが、よく調べると2つのラインは反応温度が違っていた——こういうとき、温度と触媒の間に交互作用があります。

交互作用とは、ある因子の効果の大きさや向きが、別の因子の水準によって変わる現象です。交互作用を見落とすと、「平均的にはどちらでもいい」という誤った結論を出したり、条件の組み合わせ次第で効果が反転する罠にはまります。この記事では、収率の例題で交互作用の見つけ方と読み方を解説します。

交互作用を疑う場面

次のような場面では、交互作用の存在をまず疑ってください。

  • 同じ条件変更なのに、装置・材料・環境によって効果が違う(再現しない)
  • 2つ以上の因子を同時に振る実験を計画している(要因実験・直交表)
  • 「AとBの組み合わせ」で最適条件を決めたい

逆に、因子が1つだけの実験(一元配置)では交互作用は登場しません。また、技術的に独立とわかっている因子同士(例: 完全に別工程のパラメータ)なら、交互作用を無視して主効果だけで設計する判断もあります。交互作用なしの直交表実験はまさにその割り切りです。

主効果と交互作用の違い|収率の例題

反応温度(150℃・170℃)と触媒(X・Y)の2因子で、収率(%)を測定しました。

収率(%) 触媒X 触媒Y
150℃ 70 80
170℃ 85 75

まず主効果(因子単独の平均的な効果)を計算します。

温度の主効果 = 170℃の平均 − 150℃の平均 = (85+75)/2 − (70+80)/2 = 80 − 75 = +5%

触媒の主効果 = Yの平均 − Xの平均 = (80+75)/2 − (70+85)/2 = 77.5 − 77.5 = 0%

主効果だけ見ると「触媒はどちらでも同じ」に見えます。ところが温度別に触媒の効果を見ると、話が一変します。

  • 150℃では: 触媒X→Yで +10%(70→80)
  • 170℃では: 触媒X→Yで −10%(85→75)

効果の向きが温度によって完全に反転しています。これが交互作用です。交互作用効果は「効果の差の半分」で数値化でき、(−10 − 10)/2 = −10。主効果0の裏に、±10%の大きな交互作用が隠れていました。最高収率は170℃×触媒Xの85%で、「平均的に良い条件」の組み合わせでは見つかりません。

交互作用図の読み方と作り方

交互作用の有無は、交互作用図(横軸に一方の因子、折れ線で他方の因子を分けた平均値プロット)を描くと一目でわかります。

  • 2本の線がほぼ平行 → 交互作用なし(各因子の効果は独立に足し算できる)
  • 線の傾きが違う → 交互作用あり(効果の大きさが相手の水準で変わる)
  • 線が交差する → 強い交互作用(効果の向きが反転する。今回の例)

Excelでの作り方は簡単で、上の2×2表(各セルは平均値)を選択して「挿入」→「折れ線グラフ」を選ぶだけです。行/列を入れ替えると横軸の因子を切り替えられます。数式より先にまずこの図を描くのが、交互作用検討の第一歩です。

交互作用を統計的に確かめるには

図で「ありそうだ」と分かったら、統計的な確認に進みます。ポイントは交互作用の検定には繰り返し(反復)が必要なことです。各セルn=1のデータでは、交互作用と誤差を分離できません。

直交表で交互作用をどの列に割り付けるかは線点図を使って決めます(詳細は割り付けの記事で解説)。また、繰り返しを取れない場合に交互作用を誤差とみなして進めるのが乱塊法(繰り返しのない二元配置)の考え方です。

例題の続き|繰り返しを取って分散分析まで

先ほどの収率の例に繰り返しを加え、各条件2回ずつ(計8回・順序はランダム化)実験したとします。

収率(%) 触媒X 触媒Y
150℃ 69, 71 79, 81
170℃ 84, 86 74, 76

セル平均は先ほどと同じ(70・80・85・75)で、全体平均は77.5%です。二元配置分散分析(繰り返しあり)で平方和を分解すると、次の分散分析表になります。

要因 平方和S 自由度 分散V F値 判定(F(1,4;0.05)=7.71)
温度A 50 1 50 25.0 有意 *
触媒B 0 1 0 0.0 有意でない
交互作用A×B 200 1 200 100.0 有意 *(最大)
誤差E 8 4 2
合計 258 7

数字が図の直感を裏づけています。触媒Bの主効果は平方和0で完全に「効果なし」に見えるのに、交互作用A×Bの平方和200は温度Aの4倍で、この実験で最も大きな要因です。もし交互作用を無視して主効果だけの解析をしていたら、「温度だけ効く・触媒は無関係」という誤った工程知識が標準書に残るところでした。

ExcelではデータをA1:C3の形(行=温度・列=触媒・各セル2値)に並べ、分析ツールの「分散分析: 繰り返しのある二元配置」で同じ表が得られます。手順の詳細は繰り返しのある二元配置分散分析をご覧ください。

よくある質問

Q. 3因子以上の場合、交互作用はいくつ考える?
A. 2因子交互作用はA×B・A×C・B×Cの3つ、さらに3因子交互作用A×B×Cも定義上は存在します。ただし実務では3因子以上の交互作用は小さいとみなして誤差に含めるのが通例です。技術的に意味づけできない高次交互作用を追いかけるより、2因子交互作用までを丁寧に見る方が生産的です。

Q. 交互作用が有意だったら、主効果はどう解釈する?
A. 交互作用が有意なときは、主効果の単独解釈は保留してください。「温度の効果は+5%」と平均で語ることに意味がなく、「触媒Xなら+15%、触媒Yなら−5%」のように相手の水準ごとに効果を報告するのが正しい扱いです。最適条件もセル平均の比較で選びます。

Q. 交互作用と相関・交絡はどう違う?
A. 交互作用は「因子の効果が別因子の水準で変わる」という応答側の現象です。相関は因子同士が連動して動くこと、交絡は複数の要因の効果が実験計画上分離できなくなることで、それぞれ別の概念です。交絡は計画の失敗で防ぐもの、交互作用は現象として検出するもの、と区別してください。

まとめ

  • 交互作用=因子の効果が、別の因子の水準によって変わる現象
  • 主効果が0でも大きな交互作用が隠れていることがある(例題では主効果0・交互作用±10%)
  • 交互作用図で「平行なら無し・交差すれば強い交互作用」と視覚的に判断できる
  • 統計的な検定には繰り返しが必要。繰り返しのある二元配置分散分析で確かめる
  • 最適条件は主効果の足し算ではなく、組み合わせで探す

単独の効果は主効果、組み合わせで変わる効果は交互作用。効果が再現しないときは交互作用を疑う、と覚えておいてください。検定の実践は繰り返しのある二元配置分散分析で解説しています。

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