品質管理

歩留まりとは|計算式とExcelでの求め方

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この記事でわかること

  • 工程歩留まりと総合歩留まりの計算手順(Excel対応)
  • 工程ごとの歩留まりを平均してはいけない理由
  • 不良の数ではなく損失金額で改善の順番を決める方法
  • 個数の歩留まりと材料歩留まりの違い

📌 前提知識:不良率の計算方法を読んでいると理解しやすくなります

月例の品質会議で、工程ごとの歩留まりが並んだ資料が配られました。プレス95.0%、溶接98.0%、塗装97.0%。どれも95%以上なので、ラインとしてはまずまずという空気で会議が進みます。

ところが出荷数を見ると、1,000個投入して完成品は903個しかありません。9.7%が途中で消えています。しかも不良がいちばん多いプレス工程から手をつけようとしていますが、それが正しい順番かどうかは誰も確かめていません。

歩留まりは計算自体は割り算1回です。ただ、複数工程をまとめるときと、改善の優先順位を決めるときに、数字の読み方を間違えやすい指標でもあります。

歩留まりを使う場面

歩留まりは、投入した量のうち良品として残った割合です。次のような場面で使います。

  • 工程の実力を1つの数字で報告するとき。月次の品質報告や、工程ごとの比較に使われます
  • ライン全体の損失を把握するとき。複数工程をまたいだ総合歩留まりで、最終的に何割が残るかを見ます
  • 改善の優先順位を決めるとき。どの工程の不良を減らすと効果が大きいかの判断材料に使えます

NG例(△)として、手直しして良品にした製品を最初から良品として数えると、歩留まりは実態より高く出ます。手直しの工数や再検査の手間は歩留まりに現れないからです。手直しを含めた一発での通過率を見たいなら、直行率(RTY)を使ってください。歩留まりは「最終的に何個残ったか」、直行率は「一度で通ったのは何個か」を見る指標です。

歩留まりの計算式|工程と総合の2種類

1つの工程の歩留まりは、その工程に投入した数に対する良品数の割合です。

\[ \text{工程歩留まり} = \frac{\text{良品数}}{\text{投入数}} \times 100 \]

Excelでは割り算1回です。B列に投入数、C列に良品数を入れておきます。

=C2/B2   → 表示形式をパーセントにする

複数の工程を通したライン全体の歩留まりを、総合歩留まりと呼びます。前の工程の良品がそのまま次の工程の投入になるので、各工程の歩留まりを掛け合わせると求まります。

\[ \text{総合歩留まり} = y_1 \times y_2 \times \cdots \times y_k = \frac{\text{最終良品数}}{\text{最初の投入数}} \]

\( y_i \) は工程iの歩留まり、\( k \) は工程数です。Excelでは PRODUCT 関数で掛け合わせるか、最初と最後の数から直接割ります。2つの方法で同じ値になることを確かめると、転記ミスに気づけます。

=PRODUCT(D2:D4)   ← D列に各工程の歩留まり
=C4/B2            ← 最終良品数 ÷ 最初の投入数

例題|プレス・溶接・塗装の3工程

板金部品を、プレス→溶接→塗装の順に加工するラインです。1,000個を投入したときの実績は次のとおりでした。

工程投入数 → 良品数(不良数)工程歩留まり
プレス1,000 → 950(50)95.00%
溶接950 → 931(19)98.00%
塗装931 → 903(28)96.99%

塗装は 903÷931=0.96992 で、96.99%です。総合歩留まりを2通りで計算します。

\[ 0.9500 \times 0.9800 \times 0.96992 = 0.9030 \qquad \frac{903}{1000} = 0.9030 \]

どちらも90.30%で一致しました。1,000個投入して、完成品として残るのは903個です。

工程の歩留まりを平均してはいけない理由

冒頭の会議資料のように、工程ごとの歩留まりを並べるとつい平均を取りたくなります。

=AVERAGE(D2:D4)   → 96.66%

平均すると96.66%ですが、実際にラインに残るのは90.30%です。6ポイント以上の開きがあります。歩留まりは工程を通るたびに掛け算で減っていくので、足して割る平均には意味がありません。

工程数が増えるほど、このずれは大きくなります。仮に全工程が96.66%だったとしても、3工程なら総合で90.3%、10工程なら71.2%まで落ちます。「どの工程も95%以上」という報告は、ライン全体では良い状態を意味しません。報告書には必ず総合歩留まりを併記してください。

不良の数より金額で見る|どこから直すか

次に、どの工程から改善するかを考えます。不良数だけを見ると、プレスの50個が最多です。ここで、各工程までにかかった原価を加えてみます。

工程その工程までの累積原価廃棄額(不良数×累積原価)
プレス230円(材料200+加工30)50×230=11,500円
溶接300円(+加工70)19×300=5,700円
塗装500円(+加工200)28×500=14,000円

不良の数はプレスが最多なのに、損失金額は塗装が最大です。塗装で捨てる製品には、材料費に加えてプレス・溶接・塗装の加工費がすべて乗っているからです。後工程の不良ほど高くつきます。

Excelでは、不良数の列と累積原価の列を掛けて合計します。

=SUMPRODUCT(B2:B4-C2:C4, E2:E4)   → 31,200円(1,000個投入あたり)

B列が投入数、C列が良品数、E列が累積原価です。不良がゼロなら良品1個あたりの原価は500円のはずが、この損失を903個で負担するため 482,700÷903=534.55円になっています。

では「不良を半分にする」改善を、プレスと塗装のどちらでやると効くでしょうか。後の工程への影響まで含めて計算し直した結果です。

改善案損失(1,000個投入あたり)完成品数
改善前31,200円903個
プレス不良を半減(50→25)25,968円(−5,232円)926.8個
塗装不良を半減(28→14)24,200円(−7,000円)917個

減らす不良の数はプレスのほうが多い(25個と14個)のに、損失の削減額は塗装のほうが大きく出ます。一方、完成品の数はプレスを直したほうが増えます。プレスで救った25個の多くが、そのまま後工程を通過するからです。

つまり答えは目的で分かれます。生産量が足りずに受注を断っているならプレス、コストを下げたいなら塗装です。不良数のパレート図だけで順番を決めると、この違いが見えません。不良の損失を金額で捉える考え方は、品質コスト(PAFモデル)の失敗コストと同じです。

材料歩留まり|個数とは別に見る

ここまでは個数で数える歩留まりでした。板金や樹脂成形では、重量で数える材料歩留まりも使います。

\[ \text{材料歩留まり} = \frac{\text{製品の重量}}{\text{投入した材料の重量}} \times 100 \]

10.0kgの鋼板から6.8kgの製品を打ち抜けば、材料歩留まりは68.0%です。Excelでは同じく割り算です。

=6.8/10.0   → 68.0%

残りの3.2kgは端材で、不良ではありません。1個も不良が出なくても、材料歩留まりは68%にとどまります。個数の歩留まりが100%でも材料の3割強を捨てている、という状態は珍しくありません。

改善の打ち手も違います。個数の歩留まりは工程の安定化やポカヨケで上げますが、材料歩留まりは板取りの配置や、製品形状の見直しで上げます。報告のときは「個数」と「材料」のどちらの歩留まりかを必ず書き分けてください。

よくある質問

Q. 歩留まりと良品率は同じですか?

A. 個数で数える場合は、ほぼ同じ意味で使われます。どちらも投入数に対する良品数の割合です。ただし会社によっては、良品率を検査工程だけの合格率、歩留まりを材料や工程全体の残り具合、と使い分けることがあります。社内の定義を確かめてから数字を比べてください。不良の側から数える場合は不良率・ppmの記事を参照してください。

Q. 手直しした製品は良品に数えてよいですか?

A. 歩留まりの計算では、最終的に良品として出荷できるなら良品に数えるのが一般的です。ただし、それだと手直しの工数が見えなくなります。手直しを除いて一度で通過した割合を見たいときは、直行率を別に計算してください。歩留まりが高いのに直行率が低い工程は、手直しでなんとか帳尻を合わせている状態です。

Q. 総合歩留まりを上げるには、いちばん低い工程から直すべきですか?

A. 必ずしもそうではありません。今回の例では歩留まりがいちばん低いのはプレスでしたが、損失金額では塗装が最大でした。コストを下げたいなら損失金額の大きい工程から、生産量を増やしたいなら前工程の不良から直すのが効率的です。どちらを優先するかは、いまの課題がコストか生産量かで決めてください。

Q. 設備が止まっている時間も歩留まりに含めますか?

A. 含めません。歩留まりは投入した量に対する良品の割合なので、設備の停止や速度低下は別の指標で見ます。停止・速度・良品率をまとめて評価したいときは、設備総合効率(OEE)を使ってください。OEEの3要素のうち良品率が、歩留まりにあたる部分です。

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まとめ

  • 工程歩留まりは良品数÷投入数。総合歩留まりは各工程の歩留まりの積で、最終良品数÷最初の投入数と一致する
  • 工程ごとの歩留まりを平均してはいけない。例題では平均96.66%でも、実際にラインに残るのは90.30%だった
  • 改善の順番は不良の数ではなく損失金額で決める。不良数最多のプレスより、塗装のほうが損失が大きかった
  • 不良を半減したときの効果は、コストなら塗装(−7,000円)、生産量ならプレス(+23.8個)と目的で分かれる
  • 材料歩留まりは個数とは別物。不良ゼロでも端材で68%にとどまることがある

まとめると、ライン全体の実力を報告するなら総合歩留まり、手直しの多さを見るなら直行率、改善の順番を決めるなら損失金額、という使い分けです。工程ごとの歩留まりが並んだ資料を見たら、まず掛け算して総合を出すところから始めてください。

手直しを含めた一発通過率の考え方は直行率(RTY)、不良を分類して優先順位をつける方法はExcelでパレート図を作る方法で解説しています。あわせてご確認ください。

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