品質管理

TQMとは|TQCとの違いと進め方

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この記事でわかること

  • TQM(総合的品質管理)が何を指すのか
  • QC・TQC・TQMの違いと、呼び方が変わった流れ
  • TQMを構成する活動と、それぞれの役割
  • 形だけの活動に終わらせない進め方と、QC検定の出題ポイント

📌 前提知識:品質とは何かを読んでいると理解しやすくなります

品質管理の研修で、講師が「当社はTQMを推進しています」と話しました。配られた資料には、方針管理、日常管理、QCサークル、ISO 9001と、見慣れた言葉が並んでいます。ただ、それぞれは知っていても、全部まとめて何と呼ぶのか、なぜ「T」がつくのかは誰も説明できませんでした。

TQMは、ひとつの手法の名前ではありません。品質を中心に据えて、会社全体の活動をつなぐ考え方の総称です。だからこそ、中身が見えにくく、スローガンだけが掲げられがちです。

この記事では、QCからTQC、TQMへと呼び方が変わってきた流れを追いながら、TQMを構成する活動と、その進め方を整理します。

TQMの考え方を使う場面

TQM(Total Quality Management、総合的品質管理)は、品質を経営の中心に置き、全部門・全員で顧客に満足される製品やサービスを生み出し続けるための考え方と活動の総称です。次のような場面で、この全体像が欠かせません。

  • ばらばらの品質活動を整理するとき。QCサークル、方針管理、ISO 9001などが別々に動いている状態を、ひとつの目的でつなぎ直します
  • 品質問題が製造部門だけでは解けないとき。設計・購買・営業まで巻き込む必要がある課題を扱います
  • 会社として品質の方向性を示すとき。経営方針と現場の活動を結びつける枠組みとして使います

NG例(△)として、「TQM推進」をスローガンとして掲げるだけで、具体的な活動が変わらない状態は意味がありません。TQMは、方針管理や日常管理といった具体的な仕組みが回って初めて機能します。考え方の名前だけを借りても、現場は何も変わりません。

QC・TQC・TQMの違い

TQMは突然生まれた考え方ではなく、品質管理の範囲が段階的に広がってきた結果です。3つの呼び方の違いを表にまとめます。

呼び方主な対象中心となる考え方
QC(品質管理)製造工程と検査統計的な手法で工程のばらつきを管理し、不良を減らす
TQC(全社的品質管理)製造以外の部門にも拡大設計・購買・営業も含めた全部門・全員参加で品質を作り込む
TQM(総合的品質管理)経営全体品質を経営の中心に据え、顧客と社会の満足、組織の長期的な成長を目指す

日本では1960年代以降、製造部門の統計的品質管理から、全部門が参加するTQCへと広がりました。その後、品質を経営の視点から捉え直す流れのなかで、日本の品質管理を推進してきた日本科学技術連盟が、1990年代半ばにTQCからTQMへと呼び方を改めたとされています。

呼び方は変わっても、根にある考え方は共通です。品質は検査で作るのではなく、工程や仕事の仕組みで作り込む。その範囲を、製造現場から会社全体へ広げてきたのがQCからTQMへの流れです。

TQMを構成する活動

TQMの中身は、具体的な管理の仕組みの組み合わせです。代表的なものを並べます。

活動役割
方針管理経営の方針を部門・個人の目標に展開し、改善を進める
日常管理決めた仕事のやり方を守り、いつもの状態を維持する
品質保証企画から出荷後までを通して、顧客に品質を約束する仕組み
標準化うまくいったやり方を標準として決め、全員が同じように実行できるようにする
小集団活動(QCサークル)現場のメンバーが自主的に職場の問題を改善する
教育・訓練QC手法や改善の進め方を身につけ、活動を担える人を育てる

このうち方針管理と日常管理は、TQMの両輪です。方針管理が「変える」ための仕組み、日常管理が「維持する」ための仕組みで、どちらか一方だけでは成り立ちません。詳しくは方針管理と日常管理で解説しています。

標準化と小集団活動は標準化と小集団活動、作業レベルまで落とし込んだ標準は標準作業で扱っています。改善を進めるときの道具はQC七つ道具や新QC七つ道具、進め方の型はQCストーリーです。

現場での例|ばらばらの活動をTQMでつなぐ

ある部品メーカーでは、QCサークル活動が長年続いていました。毎年多くのテーマが完了し、発表会も盛り上がります。ところが会社全体のクレーム件数は、ここ数年ほとんど減っていませんでした。

調べてみると、QCサークルのテーマは各職場が自由に選んでおり、段取り時間の短縮や職場の整理整頓が中心でした。一方、クレームの多くは設計段階の公差の設定や、購買品の品質に原因がありました。現場の改善と、会社が本当に困っている問題がつながっていなかったのです。

そこで、経営が「客先クレームの半減」を年度方針に掲げ、方針管理で設計・購買・製造の各部門に目標を割り振りました。QCサークルのテーマ選定にも、この方針との関係を1行書く欄を設けました。個々の活動はそのままに、方針でつなぎ直したことで、改善の力がクレームという共通の目標に向かい始めます。

TQMの効き目は、新しい活動を足すことより、すでにある活動をひとつの目的でつなぐことにあります。

TQMとISO 9001・シックスシグマの関係

TQMと並んで語られることの多い2つとの関係を整理します。

対象TQMとの関係
ISO 9001品質マネジメントシステムの要求事項を定めた国際規格。TQMの中の「仕組みを整え、維持する」部分を、第三者が認証できる形にしたもの
シックスシグマ統計手法を使ってばらつきを減らす改善の進め方。TQMの中で使える改善手法の1つ

ISO 9001の認証を取得していれば、TQMが実現しているとは限りません。認証は仕組みの最低限を確かめるもので、改善を続ける力や全員参加の文化までは問わないからです。違いはISO 9001とはで、シックスシグマとQC活動の違いはシックスシグマとQC活動の違いで扱っています。

QC検定での出題ポイントと例題

QC検定では、TQMは品質管理の実践分野の基本として出題されます。問われやすいのは次の点です。

  • QC・TQC・TQMへと対象が広がってきた流れ
  • 方針管理・日常管理・品質保証・標準化・小集団活動など、TQMの構成要素
  • 全員参加、プロセス重視、事実に基づく管理といった基本的な考え方

理解を確かめるためのオリジナル例題です。

【例題】TQMの考え方として、最も適切なものを1つ選べ。

ア.TQMは製造部門が中心となって進める活動であり、営業や設計は対象外である
イ.ISO 9001の認証を取得すれば、TQMは実現できている
ウ.TQMは、品質を経営の中心に置き、全部門・全員で顧客満足と組織の継続的な成長を目指す活動である
エ.TQMでは、方針管理を行えば日常管理は不要である

正解はウです。アは対象を製造部門に限定しており、TQCの段階ですでに全部門へ広がっている点を見落としています。イは、認証は仕組みの最低限を確かめるもので、改善を続ける活動や全員参加までは保証しないので誤りです。エは、方針管理と日常管理は両輪で、維持の仕組みがなければ改善の成果も定着しないので誤りです。

よくある質問

Q. TQMとTQCは別のものですか?

A. 根にある考え方は共通で、対象の広がり方と重点が違います。TQCは全部門・全員参加で品質を作り込むことに重点があり、TQMはそれを経営全体の視点に広げたものです。日本では呼び方がTQCからTQMへ改められた経緯があるので、同じ流れの上にある新旧の呼び方と捉えると分かりやすくなります。

Q. TQMを始めるには、まず何から手をつければよいですか?

A. 新しい活動を増やすより、すでにある活動を洗い出して、会社の方針とつながっているかを確かめるところから始めるのが現実的です。方針管理で目標を部門に展開し、日常管理で標準を守る仕組みがあるかを見てください。進め方の基本は方針管理と日常管理で解説しています。

Q. 小さな会社でもTQMは必要ですか?

A. 規模に関係なく考え方は使えます。大企業のような推進組織や書類を揃える必要はありません。経営の方針を全員が共有し、決めたやり方を守り、問題が起きたら全員で改善する、という流れが回っていれば、それがTQMの中身です。

Q. TQMで成果が出ているかは、どう判断しますか?

A. 活動の件数ではなく、顧客にとっての結果で見ます。クレーム件数、不良による損失額、納期の遵守率など、方針で掲げた目標が達成できているかを確かめてください。QCサークルのテーマ数や発表回数が増えても、結果が変わらなければ、活動と目的がつながっていない可能性があります。

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まとめ

  • TQMは、品質を経営の中心に置き、全部門・全員で顧客満足と組織の成長を目指す考え方と活動の総称
  • 品質管理の対象は、製造工程のQCから、全部門参加のTQC、経営全体のTQMへと広がってきた
  • 中身は方針管理・日常管理・品質保証・標準化・小集団活動・教育訓練などの具体的な仕組みの組み合わせ
  • ISO 9001の認証やシックスシグマは、TQMの一部を担うもので、TQMそのものではない

まとめると、個別の不良を減らしたいならQCの手法、会社全体の品質活動をひとつの目的でつなぎたいならTQMの考え方、という使い分けです。「TQM推進」を掲げる前に、今ある活動が会社の方針とつながっているかを確かめてください。

TQMの両輪である仕組みは方針管理と日常管理、品質の考え方そのものは品質とはで解説しています。あわせてご確認ください。

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