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是正処置と予防処置とは|違いと効果の確認方法

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この記事でわかること

  • 是正処置と予防処置の違い(見ている時間軸の違い)
  • 是正処置のプロセス(原因の除去から効果確認まで)
  • FMEAと連動した予防処置の考え方
  • 対策の効果を統計的に確認する方法(計算例つき)

📌 前提知識:8Dレポートの書き方|AIで英文の下書きを作るFMEAとは|故障モード影響解析とRPNの計算を読んでいると理解しやすくなります

不良対策の会議で「対策を打ちました」と報告したら、「それで、本当に減ったのですか」と聞かれて答えに詰まった。感覚では減った気がするが、数字で示せと言われると自信がない。こうした場面は、対策を打つところまでで力を使い切り、効果の確認が後回しになっている現場でよく起こります。

この記事では、是正処置と予防処置の違いを整理したうえで、対策を打った後に「本当に効果があったか」を確認する方法まで扱います。要点は、是正処置と予防処置は見ている時間軸が違い、どちらも打って終わりではないということです。

是正処置と予防処置が必要な場面

この2つの言葉は、次のような場面で登場します。

  • 不具合が発生したとき:原因を取り除く是正処置が必要になる
  • FMEAでリスクの高い項目が見つかったとき:まだ起きていない不具合を防ぐ予防処置が必要になる
  • 監査で指摘を受けたとき:指摘された事実に対して、どちらの処置で応じるかを決める
  • 客先へ再発防止策を報告するとき:8Dレポートなどの様式で、両者を書き分ける必要がある

両者の違いは、すでに起きたことに対応するか、まだ起きていないことに備えるかという時間軸にあります。

項目 是正処置 予防処置
対象 すでに発生した不適合 まだ発生していない潜在的な不適合
出発点 不具合報告・クレーム・監査指摘 FMEAのリスク評価、類似工程での実績
よく使う様式 8Dレポート・是正処置報告書 FMEA・リスクアセスメント

NG例(△):「対策」とだけ書いて、是正か予防かを区別しないことです。すでに起きたことへの対応と、まだ起きていないことへの備えでは、報告の書き方も優先順位の付け方も変わります。混同すると、対策の妥当性を評価する側が判断を誤ります。

是正処置のプロセス

是正処置は、8DレポートのD3〜D6にあたる部分です。流れは次のとおりです。

  1. 暫定処置:不良品の流出を止める応急対応(選別・出荷停止など)
  2. 原因分析なぜなぜ分析などで真因を特定する
  3. 恒久対策の立案と実施:真因を取り除く対策を決めて実行する
  4. 効果の確認:対策後、実際に不具合が減ったかを数値で確認する

見落とされやすいのが4番目です。管理限界を超えたときの対応手順でも、原因を取り除くステップまでは扱いましたが、その後「本当に直ったか」を確認する工程は独立して扱う価値があります。次の章で具体的な確認方法を示します。

予防処置とFMEAの関係

予防処置は、まだ発生していないリスクに対して先回りで手を打つものです。何を予防するかを決める材料になるのがFMEAのRPN(リスク優先数)です。

RPNが高い故障モードは、発生してから是正処置で対応するのではなく、発生する前に予防処置で手を打つべき候補です。例えば、検出度Dが低い(見つけにくい)項目は、検査工程を追加する、あるいは工程そのものを見直すといった予防処置の対象です。

NG例(△):予防処置を「念のため」で決めることです。根拠なく思いついた対策を並べても優先順位がつけられません。FMEAのRPNのように、何らかの根拠で優先度をつけたうえで予防処置の対象を選びます。

効果を統計的に確認する

対策を打った後、不良率が実際に下がったかどうかは、感覚ではなく数値で確認します。ある工程で、対策前は500個中25個(不良率5.0%)、対策後は500個中8個(不良率1.6%)だったとします。

数字だけ見ると改善していますが、たまたまこの500個がよかっただけかもしれません。偶然のばらつきの範囲内なのか、それとも本当に対策が効いたのかを、2つの比率の差の検定で確認します。

\[ z = \frac{p_1 – p_2}{\sqrt{\bar{p}(1-\bar{p})\left(\frac{1}{n_1}+\frac{1}{n_2}\right)}} \]

ここで\( \bar{p} \)は、対策前後を合わせた全体の不良率(プールした比率)です。

p1 = 25/500  = 0.0500(対策前)
p2 = 8/500   = 0.0160(対策後)
p_pool = (25+8)/(500+500) = 0.0330
SE = SQRT(0.0330*(1-0.0330)*(1/500+1/500)) = 0.01130
z = (0.0500-0.0160)/0.01130 = 3.010

Excelでは次のように計算します。

p_pool  =(25+8)/(500+500)
SE      =SQRT(p_pool*(1-p_pool)*(1/500+1/500))
z       =(0.05-0.016)/SE
p値     =2*(1-NORM.S.DIST(ABS(z),TRUE))

z=3.010は、有意水準5%の基準値1.96を大きく上回っています。この差は偶然のばらつきでは説明しにくく、対策の効果があったと判断できます。逆にzが基準値を下回った場合は、対策の効果を主張するにはデータが足りていない、あるいは対策そのものが効いていない可能性を疑います。検定の詳しい手順や前提条件は比率の検定で扱っています。

NG例(△):「対策前より減ったから効果あり」と件数だけで判断することです。ロットサイズが違えば単純な件数比較は意味を持ちません。必ず比率にそろえたうえで、偶然の範囲かどうかを検定で確認します。

よくある失敗

  • 暫定処置で終わらせてしまう:不良品の選別だけして、真因を取り除かないまま「対応済み」にする
  • 効果確認をしないまま次の案件に移る:対策後のデータを追わず、再発してから気づく
  • 予防処置を思いつきで決める:FMEAなどの根拠なく、担当者の経験則だけで対象を選ぶ
  • 是正処置と予防処置を同じ様式で管理する:時間軸が違う2つを混ぜると、期限や優先度の管理が崩れる

よくある質問

Q. 是正処置と予防処置、どちらを優先すべきですか?

A. 一律の優先順位はありません。すでに流出している不具合には是正処置を急ぎ、FMEAでRPNが高い項目には予防処置を計画的に進めるという、性質の違う2つの対応が並行して必要です。

Q. 暫定処置と是正処置はどう違うのですか?

A. 暫定処置は流出を止める応急対応、是正処置は原因そのものを取り除く恒久対策です。暫定処置だけで終わらせず、必ず原因分析と恒久対策まで進めます。

Q. 対策の効果はいつ確認すればよいですか?

A. 対策を実施してから、通常の生産量である程度のデータが集まった時点で確認します。件数が少なすぎると、偶然のばらつきと効果の区別がつきません。

Q. 予防処置はFMEA以外の方法でも決められますか?

A. 可能です。他ラインでの不具合事例、業界の既知トラブル、監査での指摘傾向なども材料です。共通しているのは、根拠を示せる形で優先度をつけることです。

まとめ

  • 是正処置はすでに発生した不適合への対応、予防処置はまだ発生していないリスクへの対応
  • 是正処置は暫定処置→原因分析→恒久対策→効果確認の順で進める
  • 予防処置の対象は、FMEAのRPNなど根拠のある基準で優先度をつける
  • 対策の効果は感覚ではなく、比率の検定などで偶然のばらつきと区別して確認する

すでに起きたことへの対応か、まだ起きていないことへの備えかの使い分けです。是正処置の起点となる8Dレポートは8Dレポートの書き方で、予防処置の優先度づけに使うFMEAはFMEAとはで扱っています。さらに体系的に学びたい方向けに、レベル別のおすすめ書籍を統計学・実験計画法のおすすめ本まとめで紹介しています。

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