統計的仮説検定

母比率の検定(不良率の検定)|Excelでのやり方

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この記事でわかること

  • 母比率の検定(不良率の検定)を使う場面と条件
  • 目標不良率と実績を比べる手順(1標本)とExcel関数
  • 2ラインの不良率を比べる手順(2標本)と例題

📌 前提知識:仮説検定の考え方正規分布を読んでおくと理解しやすくなります

「今月の不良率3%は、目標の2%より本当に悪化したのか、それともたまたまか」「ラインAとラインBで不良率に差があるのか」——比率(割合)の差が偶然かどうかを確かめるのが母比率の検定です。品質管理では不良率の評価に直結します。この記事では、1標本と2標本の2パターンを例題で解説します。

母比率の検定を使う場面・条件

母比率の検定は、不良率・合格率・発生率といった「割合」が基準値と違うか、2群で違うかを調べる検定です。次のような場面で使います。

  • 実績の不良率が、目標値(管理基準)と異なるか確かめたい(1標本)
  • 2つのライン・工程・ロットで不良率に差があるか比べたい(2標本)

この検定は正規分布で近似して計算するため、サンプル数が十分にあることが条件です。目安は np ≥ 5 かつ n(1−p) ≥ 5。不良率が非常に低い・サンプルが少ない場合は近似が崩れるので、二項分布による方法を使います。

1標本の検定:目標不良率と比べる

実績の不良率 p̂ が、目標値 p₀ と異なるかを検定します。検定統計量zは次の式です。

z = (p̂ − p₀) / √(p₀(1−p₀) / n)

このzの絶対値が 1.96(有意水準5%・両側)を超えれば「目標と有意に異なる」と判断します。境界値1.96はExcelの =NORM.S.INV(0.975)、p値は =2*(1−NORM.S.DIST(ABS(z),TRUE)) で求められます。

例題:目標不良率 p₀=2%(0.02)の工程で、500個を検査したところ20個が不良でした。実績は p̂ = 20/500 = 0.04(4%)です。

  • 標準誤差:√(0.02 × 0.98 / 500) ≒ 0.00626
  • z = (0.04 − 0.02) / 0.00626 ≒ 3.19
  • 両側p値 ≒ 0.0014(< 0.05)

zが1.96を大きく超えるので、「実績の不良率は目標2%より有意に高い」と結論できます。np₀=500×0.02=10で条件(≥5)も満たしています。

2標本の検定:2ラインの不良率を比べる

2つの群の不良率 p̂₁・p̂₂ に差があるかを検定します。まず両群をまとめたプール比率 p̂ を求め、zを計算します。

p̂ = (不良数₁ + 不良数₂) / (n₁ + n₂) / z = (p̂₁ − p̂₂) / √(p̂(1−p̂)(1/n₁ + 1/n₂))

例題:ラインAは300個中9個が不良(3%)、ラインBは300個中27個が不良(9%)でした。

  • プール比率:p̂ = (9+27)/(300+300) = 36/600 = 0.06
  • 標準誤差:√(0.06 × 0.94 × (1/300 + 1/300)) ≒ 0.0194
  • z = (0.03 − 0.09) / 0.0194 ≒ −3.09
  • 両側p値 ≒ 0.002(< 0.05)

|z|が1.96を超えるので、「ラインBの不良率はラインAより有意に高い」と判断できます。なお、2標本の母比率の差の検定は、2×2分割表のカイ二乗検定と本質的に同じ結果になります。

まとめ

母比率の検定(不良率の検定)のポイントを整理します。

  • 不良率などの割合が、基準値と違うか・2群で違うかを調べる検定
  • 1標本:z = (p̂ − p₀) / √(p₀(1−p₀)/n)
  • 2標本:プール比率 p̂ を使い z を計算。カイ二乗検定と等価
  • |z| が 1.96(両側5%)を超えれば有意。境界値・p値はExcelのNORM.S.INV / NORM.S.DISTで求まる
  • 適用条件は np ≥ 5 かつ n(1−p) ≥ 5

検定の基本的な考え方は仮説検定の考え方と手順、有意水準やp値の意味はp値とはで解説しています。必要なサンプル数の見積もりはサンプルサイズの決め方、割合の区間推定は信頼区間をあわせてご覧ください。

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