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幾何平均・調和平均の求め方|算術平均との使い分け

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この記事でわかること

  • 算術平均が成長率・速度データでは実態とずれる理由
  • 幾何平均の求め方とGEOMEAN関数(成長率・倍率の平均)
  • 調和平均の求め方とHARMEAN関数(速度・レートの平均)

📌 前提知識:平均・中央値・最頻値の求め方と使い分けを読んでいると理解しやすくなります

ある製造ラインの月産数量が、先月比で2倍に増えた翌月、今度は半分に減りました。2か月の「平均の伸び率」を単純に(200%+50%)÷2=125%と計算すると、毎月25%ずつ伸びているように見えます。でも実際には、2か月経った時点で数量は元通り。伸び率はゼロのはずです。

この食い違いが起きるのは、比率や倍率のデータに算術平均を使ってしまったからです。こうした場面で使うのが幾何平均です。この記事では幾何平均と、もう一つの平均である調和平均の求め方、そして算術平均との使い分けを整理します。

幾何平均・調和平均を使う場面

  • 成長率・倍率など「掛け合わせていく」データの平均を求めたいとき(年ごとの伸び率、生産数量の推移など)→幾何平均
  • 速度・処理レートなど「単位量あたりの量」の平均を求めたいとき(時間あたりの処理個数の平均など)→調和平均

NG例(△): 単純に足し合わせて意味のある数値(測定値そのものの平均など)には算術平均で十分です。倍率でも速度でもないデータにまで幾何平均・調和平均を使う必要はありません。

幾何平均とは|成長率・倍率の平均

幾何平均は、n個の値をすべて掛け合わせてn乗根をとった値です。

\[\text{GM} = \sqrt[n]{x_1 \times x_2 \times \cdots \times x_n}\]

Excelでは専用のGEOMEAN関数が対応します:

=GEOMEAN(範囲)

冒頭の例で確かめます。1か月目は前月比×2.0(+100%)、2か月目は前月比×0.5(−50%)でした。

種類 計算 結果 見かけの伸び率
算術平均 (2.0+0.5)÷2 1.25 +25%
幾何平均 √(2.0×0.5) 1.0 ±0%

Excelなら =GEOMEAN(2.0,0.5) で1が返ります。幾何平均の1.0(±0%)が正解です。2か月間で数量が2倍→半分と変化した実態(差し引きゼロ)と一致するのは幾何平均のほうで、算術平均の+25%は掛け算の性質を無視した見かけ上の数字にすぎません。

複数年の成長率を平均する例

生産数量の前年比が1年目+10%(×1.10)、2年目+20%(×1.20)、3年目+5%(×1.05)だったとします。

算術平均は (1.10+1.20+1.05)÷3 ≈ 1.117(+11.7%)。一方、幾何平均は次のとおりです。

\[\text{GM} = \sqrt[3]{1.10 \times 1.20 \times 1.05} \approx 1.1150\]

Excelなら =GEOMEAN(1.10,1.20,1.05) で約1.1150(年平均+11.5%)です。3年間で実際に積み上がった伸びと整合するのはこちらで、算術平均の+11.7%はわずかに実態より大きく出ます。年数が増え、年ごとの伸び率のばらつきが大きいほど、この差は開きます。

調和平均とは|速度・レートの平均

調和平均は、各値の逆数を平均し、その逆数をとった値です。

\[\text{HM} = \frac{n}{\sum \frac{1}{x_i}}\]

Excelでは専用のHARMEAN関数が対応します:

=HARMEAN(範囲)

ある機械で240個のロットを加工します。前半120個を時間あたり60個のペースで、後半120個を時間あたり40個のペースで加工しました。ロット全体の平均処理速度はいくつでしょうか。

単純に(60+40)÷2=50個/時間としたくなりますが、これは誤りです。実際にかかった時間を計算すると、前半は120÷60=2時間、後半は120÷40=3時間、合計5時間で240個。したがって実際の平均速度は240÷5=48個/時間です。

これは調和平均と一致します。

\[\text{HM} = \frac{2}{\frac{1}{60} + \frac{1}{40}} = 48\]

Excelなら =HARMEAN(60,40) で48が返ります。「同じ数量」を異なるペースでこなしたときの平均速度は、算術平均ではなく調和平均で求めるのが正解です。

3つの値を平均する例

3つの工程が、それぞれ同じ数量を時間あたり50個・60個・75個のペースで加工したとします。

=HARMEAN(50,60,75) → 60個/時間

算術平均の(50+60+75)÷3≈61.7個/時間より小さい値です。調和平均は小さい値(遅いペース)の影響を強く受ける性質があるためです。

算術平均・幾何平均・調和平均の使い分け

種類 向いているデータ Excel関数
算術平均 単純な測定値の集まり(寸法・硬度など) AVERAGE
幾何平均 成長率・倍率など掛け合わせるデータ GEOMEAN
調和平均 速度・レートなど、等しい量に対する比率の平均 HARMEAN

3つとも正の値だけを使う場合、常に算術平均≥幾何平均≥調和平均の順です。今回の60個/時間と40個/時間の例でも、算術平均50・幾何平均約49.0・調和平均48ときれいにこの順に並びます。3つが完全に一致するのは、元の値がすべて同じときだけです。

よくある質問

Q. 幾何平均はマイナスの値を含むデータに使えますか?

使えません。幾何平均は値をすべて掛け合わせてn乗根をとるため、負の数が混ざると計算結果が実数にならなかったり、符号によって意味不明な値が出ます。GEOMEAN関数も0以下の値が含まれるとエラーを返します。増減率は「前年比◯倍」のような正の倍率に変換してから使います。

Q. 調和平均はどんなときにも速度の平均に使えますか?

「同じ量(距離や個数)」を異なるレートでこなした場合に限られます。逆に「同じ時間」だけ異なるレートで作業した場合の平均は、単純な算術平均で正しく求まります。どちらの条件にあてはまるかを見極めることが大切です。

Q. 算術平均・幾何平均・調和平均の大小関係はいつも同じですか?

はい。すべて正の値であれば、常に算術平均≥幾何平均≥調和平均の順です。3つが完全に等しくなるのは、元の値がすべて同じ場合だけです。

まとめ

  • 幾何平均=n個の値を掛け合わせてn乗根。成長率・倍率データの平均に使う(Excel:=GEOMEAN
  • 調和平均=逆数の平均の逆数。速度・レートなど「等しい量に対する比率」の平均に使う(Excel:=HARMEAN
  • 算術平均を比率データに使うと、実態より大きい値になりがち
  • 正の値なら常に算術平均≥幾何平均≥調和平均の関係が成り立つ
  • 通常の測定値の平均は、これまでどおり算術平均(=AVERAGE)で十分

どの平均を使うべきかは、データが「足し合わせて意味があるか」「掛け合わせて意味があるか」「比率として意味があるか」で決まります。平均・中央値・最頻値の基本的な使い分けは平均・中央値・最頻値の求め方で解説しています。用語をまとめて確認したい方は統計・実験計画法の用語と公式まとめも参考にしてください。さらに体系的に学びたい方向けに、レベル別のおすすめ書籍を統計学・実験計画法のおすすめ本まとめで紹介しています。

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