品質管理

系統図とは|書き方の手順と方策展開の例

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この記事でわかること

  • 系統図の意味と、方策展開型・構成要素展開型の違い
  • 目的から具体策まで展開する5つの手順
  • 具体策を効果・実現性・コストの点数で絞り込む方法(Excel対応)
  • 特性要因図・なぜなぜ分析との使い分け

📌 前提知識:新QC七つ道具とは|7手法の使い方と図の作り方で7つの手法の全体像を押さえておくと理解しやすくなります

今期の目標は「プレス部品のバリ不良を半減する」に決まりました。改善会議で対策を出し合うと、「金型をいいものに替える」「検査を増やす」「材料を見直す」と次々に出てきます。ところが、どれも大きな話で、翌日から何をすればいいのかが決まりません。

目標と、現場が明日から動ける具体策のあいだには、何段階もの「そのためには何をするか」が挟まっています。その段階を枝分かれの図で順に埋めていくのが系統図です。この記事では、書き方の手順と、出てきた具体策を点数で絞り込むところまでを追います。

系統図を使う場面

系統図は、目的を達成するための手段を、上位から下位へ「目的→手段」の関係で枝分かれさせて展開する手法です。新QC七つ道具の1つで、系統図法とも呼ばれます。次のような場面で使います。

  • 目標は決まったが、具体的に何をするかが決まらないとき。大きな目標を、担当と期限をつけられる大きさの行動まで分解できます
  • 対策の抜けや偏りを防ぎたいとき。思いついた対策を並べるだけだと、同じ方向の案ばかりになりがちです。上位の手段から順に分けていくと、手を付けていない方向が見えます
  • 対策の優先順位を関係者と合意したいとき。展開した具体策を同じ基準で評価でき、選ばなかった理由も説明できます

NG例(△)として、原因がまだ分かっていない段階で使うのは早すぎます。系統図は「どうするか」を展開する道具で、「なぜ起きたか」を探る道具ではありません。原因の洗い出しは特性要因図とは|書き方のルールと作り方・記入例、真因の掘り下げはなぜなぜ分析のやり方|5回のなぜで真因にたどり着く手順を先に使います。

2つの型|方策展開型と構成要素展開型

系統図には、展開の仕方で2つの型があります。

型展開の問い使う場面
方策展開型「その目的を達成するには、何をすればよいか」改善の対策を考える、目標を行動計画に落とす
構成要素展開型「それは何から成り立っているか」製品の機能や品質特性を分解する、業務の要素を整理する

品質改善でよく使うのは方策展開型です。構成要素展開型は、顧客の要求を品質特性に分解する品質表づくりなどで使われます。その使い方はQFDとは|品質機能展開と品質表の作り方で解説しています。この記事では方策展開型を扱います。

書き方の5つの手順

  1. 目的を1つ決めて左端に書く:「バリ不良を半減する(1.2%→0.6%)」のように、数字と期限が入った形にする
  2. 一次手段を出す:「その目的を達成するには何をすればよいか」を問い、3〜5個の大きな方向に分ける
  3. 二次、三次と展開する:一次手段をそれぞれ目的とみなし、同じ問いを繰り返す。右へ行くほど具体的になる
  4. 逆向きに読み返す:右端から左へ「〜するために〜する」とつないで読み、つながらない枝がないか確かめる
  5. 右端の具体策を評価して選ぶ:効果・実現性・コストなどの基準で点数をつけ、実施する具体策を決める

手順3は、「明日、誰が何をするか」が言える大きさになるまで続けます。「品質を良くする」「管理を徹底する」のような言葉が右端に残っていたら、まだ展開が足りません。

例題|バリ不良を半減する

冒頭の目標を系統図に展開すると、次のようになりました。表の左から右へ、目的から具体策へと進みます。

一次手段二次手段具体策(三次)
金型の状態を保つ刃先の摩耗を管理する① 研磨の周期を決めて守る
③ 金型を超硬材に替える
クリアランスを保つ② クリアランスを始業点検で測る
加工条件を安定させる加工速度を一定にする⑤ 加工速度の上限を条件表に明記する
材料のばらつきを抑える板厚のばらつきを抑える④ 材料ロットごとに板厚を受入検査する
⑦ 仕入先に板厚公差を厳しく要求する
出てしまったバリを流さないバリを検出する⑥ 画像検査でバリを全数検出する

手順4の読み返しを1本やってみます。「研磨の周期を決めて守る」ために→「刃先の摩耗を管理する」ために→「金型の状態を保つ」ために→「バリ不良を半減する」。右から左へ、目的と手段の関係がつながっています。

一次手段を4つに分けたことで、「材料」や「検出」の方向にも案が出ました。思いつきで対策を並べていたときは、金型の話ばかりでした。上位で方向を分けてから下ろしていくと、偏りが見えます。

具体策を点数で絞り込む

7つの具体策をすべて同時に進めるのは無理なので、評価して選びます。効果・実現性・コストをそれぞれ3段階(3=良い、2=普通、1=悪い)で評価し、掛け合わせて点数にします。

具体策効果実現性コスト点数順位
① 研磨の周期を決めて守る333271
② クリアランスを始業点検で測る233182
⑤ 加工速度の上限を条件表に明記する233182
④ 材料ロットごとに板厚を受入検査する22284
⑦ 仕入先に板厚公差を厳しく要求する21245
③ 金型を超硬材に替える31136
⑥ 画像検査でバリを全数検出する21127

Excelでは、B列に効果、C列に実現性、D列にコストを入れて、次の式で求めます。

  • 点数:=B2*C2*D2
  • 順位:=RANK.EQ(E2,$E$2:$E$8)

上位3つ(①②⑤)は、どれも明日から始められる対策です。一方、効果が最大の3点だった「③ 金型を超硬材に替える」は、実現性とコストが1なので6位に沈みました。掛け算の点数は、どれか1つでも低い項目があると大きく下がるためです。

これは欠点ではなく、「すぐにはできないもの」を後回しにする働きです。ただし、効果の大きい③を捨ててよいわけではありません。①②⑤で当面の不良を減らしつつ、③は次の金型更新の計画に入れておく、という扱いが現実的です。点数は、選ぶ順番を決めるための道具であって、選ばなかった案を消すためのものではありません。

なお、足し算(3項目の合計)で並べても、この例の上位3つは変わりません。掛け算と足し算で順位が入れ替わるのは、ある項目だけが極端に低い案です。どちらを使うかは、チームで最初に決めておきます。

特性要因図・なぜなぜ分析との違い

系統図と形が似ている図に、特性要因図となぜなぜ分析があります。3つは向きが違います。

手法展開の向き問い
特性要因図結果 → 原因(広く)この結果に影響しそうな要因は何か
なぜなぜ分析結果 → 原因(深く)なぜそれが起きたのか
系統図目的 → 手段そのためには何をすればよいか

改善の流れでは、特性要因図となぜなぜ分析で原因を突き止め、その原因をなくすことを目的にして系統図で対策を展開します。QCストーリーでいえば、要因の解析のあと、対策の検討の段階で使う道具です。流れ全体はQCストーリーとは|問題解決型の8ステップと事例で解説しています。

よくある失敗

  • 右端が具体策になっていない。「管理を強化する」「意識を高める」で止まると、誰も動けません。担当者と期限をつけられるかで判断します
  • 一次手段が偏っている。最初の分け方が狭いと、下の段もすべて同じ方向に偏ります。一次手段は、設備・方法・材料・人のように性質の違う方向に分けると漏れにくくなります
  • 目的と手段が逆になっている。右から左に「〜するために」でつないで読むと、逆転している枝が見つかります
  • 点数だけで決めて、低い案を消してしまう。例題の③のように、今はできないが効果の大きい案は、中期の計画として残します

よくある質問

Q. 系統図と特性要因図の違いは何ですか?

A. 向きが逆です。特性要因図は結果から原因へ広げて「何が影響しているか」を洗い出す図で、系統図は目的から手段へ広げて「何をすればよいか」を展開する図です。原因を特性要因図で突き止め、対策を系統図で考える、という順に使います。

Q. 何段まで展開すればよいですか?

A. 段数は決まっていません。右端が、担当者と期限をつけて実行できる大きさになるまで展開します。例題では3段で具体策になりましたが、大きな目標では4〜5段になることもあります。

Q. 評価の項目は効果・実現性・コストでなければいけませんか?

A. 決まりはありません。安全性、実施までの期間、効果が続く長さなど、目的に合わせて選びます。大事なのは、評価の前に項目と点のつけ方をチームで決めておくことです。後から決めると、選びたい案に有利な基準を選んでしまいがちです。

Q. QC検定ではどう問われますか?

A. 新QC七つ道具の1つとして、ほかの手法との使い分けが問われやすいところです。「目的を達成するための手段を多段階に展開する手法はどれか」のように、図の目的から手法名を選ばせる形が典型です。7つの手法の違いは新QC七つ道具の総論記事で整理しています。

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まとめ

  • 系統図は、目的を達成する手段を「目的→手段」の関係で枝分かれさせ、具体策まで展開する新QC七つ道具の手法
  • 改善で使うのは方策展開型。機能や品質特性の分解には構成要素展開型を使う
  • 手順は、目的を決める → 一次手段 → 二次・三次と展開 → 逆向きに読み返す → 具体策を評価、の5つ
  • 例題では7つの具体策を効果×実現性×コストで評価し、研磨周期(27点)・クリアランス点検と加工速度の上限(18点)を選んだ
  • 点数の低い案も、効果が大きければ中期の計画として残す

まとめると、原因を探すなら特性要因図やなぜなぜ分析、原因をなくす対策を考えるなら系統図、という使い分けです。右端が明日から動ける具体策になるまで展開し、点数で選ぶ順番を決めてください。

対策を仕組みで止める考え方はポカヨケとは|人のミスを止める仕組みと現場の事例で解説しています。あわせてご確認ください。

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