統計的仮説検定

確率分布の種類一覧|製造業で使う分布と使い分け

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この記事でわかること

  • 製造業でよく使う確率分布の一覧と、それぞれの使う場面
  • 離散分布と連続分布の違いと、各分布に対応するExcel関数
  • 自分のデータがどの分布に従うかの見分け方

📌 前提知識:標準偏差・分散の求め方を読んでいると理解しやすくなります

不良個数のデータを検定したい。ところが手法を調べると「二項分布に従うなら」「正規近似できるなら」と、いきなり分布の名前が出てきます。自分のデータがどの分布なのか分からないと、その先に進めません。

確率分布は、検定・管理図・抜取検査といった統計手法すべての土台です。分布を取り違えると、選ぶ手法もExcel関数も変わってしまいます。逆に、代表的な分布とその使いどころを一度整理しておけば、手法選びで迷わなくなります。

この記事は、製造業でよく使う確率分布の総まとめです。それぞれの分布の使う場面・Excel関数・詳しい解説記事へのリンクを一覧にしました。

確率分布を意識する場面

「このデータはどの分布に従うか」を考える必要があるのは、次のような場面です。

  • 検定を選ぶとき:平均の検定はt分布、分散の検定はχ²分布、というように前提となる分布で手法が決まる
  • 管理図を選ぶとき:計量値(正規分布)か計数値(二項・ポアソン分布)かで使う管理図が変わる
  • 抜取検査を設計するとき:合格率の計算は二項分布やポアソン分布が土台になる
  • 不良率や故障率を見積もるとき:起こりやすさを理論分布から計算する

どの場面でも、出発点は「離散か連続か」の判断です。まずはこの大分類から押さえます。

離散分布と連続分布の違い

確率分布は、扱うデータの種類によって大きく2つに分かれます。

離散分布 連続分布
データの性質 数えられる値(とびとび) 測れる値(連続)
製造業の例 不良個数・欠陥数・故障件数 寸法・重量・強度・時間
代表的な分布 二項分布・ポアソン分布 正規分布・指数分布・χ²・t・F分布

見分け方はシンプルです。「1個、2個」と数えるデータなら離散、「48.2mm」のように測るデータなら連続です。計数値・計量値という品質管理の用語とも対応します。

製造業でよく使う確率分布一覧

代表的な分布を、使う場面とExcel関数、詳しい解説記事とあわせて一覧にします。

離散分布

分布 使う場面 Excel関数
二項分布 不良率pの製品からn個抜き取ったときの不良個数。抜取検査の合格率 BINOM.DIST
ポアソン分布 一定の面積・時間あたりの欠陥数(キズの数・故障件数) POISSON.DIST

二項分布とポアソン分布の使い分け、Excelでの計算手順は二項分布・ポアソン分布の求め方と使い分けで解説しています。抜取検査への応用は抜取検査とOC曲線、不良率の検定は母比率の検定をご覧ください。

連続分布

分布 使う場面 Excel関数
正規分布 寸法・重量など多くの測定値。工程能力・管理図・多くの検定の前提 NORM.DIST
指数分布 故障までの時間・寿命(故障率が一定の期間) EXPON.DIST
t分布 母標準偏差が未知で小標本のときの平均の検定・区間推定 T.DIST
χ²分布 分散の検定・適合度検定・独立性の検定 CHISQ.DIST
F分布 2つの分散の比較(等分散の検定)・分散分析 F.DIST

最も基本となる正規分布は正規分布とはで詳しく解説しています。±1σにデータの約68%、±2σに約95%、±3σに約99.7%が収まる性質は、3シグマとはと管理図・工程能力の土台です。

検定でt・χ²・Fのどれを使うかはχ²・t・F分布の使い分けに早見表があります。分散の検定に使うχ²分布の具体的な計算は母分散の検定・推定、指数分布を使う寿命・故障率の分析は信頼性工学とはで扱っています。

分布の選び方|3つの問いで絞る

手元のデータがどの分布かは、次の順で問うと絞り込めます。

  1. 数えるデータか、測るデータか:数える(不良個数)なら離散へ、測る(寸法)なら連続へ
  2. (離散の場合)率か、件数か:n個中の不良数なら二項分布、単位あたりの発生件数ならポアソン分布
  3. (連続の場合)何をしたいか:測定値そのものの分布なら正規分布、寿命・時間なら指数分布、検定の計算に使うならt・χ²・F分布

実データがどの分布に近いかは、ヒストグラムで形を確かめるのが基本です。左右対称の山型なら正規分布、右に裾を引くなら指数分布やポアソン分布が候補です。理論的な発生の仕組み(独立な試行の成功回数なら二項分布、など)から選ぶ場合もあります。

扱う分布が決まると、その分布のもとでの平均や、データを増やしたときの平均の安定性まで見通せます。確率で重みづけした平均の求め方は期待値の求め方|確率で重みづけした平均をExcelで、標本を増やすほど標本平均が母平均に近づく性質は大数の法則とは|標本を増やすと平均が安定する理由で解説しています。

まとめ

  • 確率分布は検定・管理図・抜取検査すべての土台。取り違えると手法もExcel関数も変わる
  • まず「数えるデータ=離散」「測るデータ=連続」で大きく分ける
  • 離散は二項分布(n個中の不良数)とポアソン分布(単位あたりの件数)
  • 連続は正規分布が基本。検定にはt・χ²・F分布、寿命には指数分布
  • 迷ったらヒストグラムで形を確認し、発生の仕組みから候補を絞る

分布さえ決まれば、使うべき検定・管理図・Excel関数は自動的に決まります。まずは自分のデータが離散か連続かを見極めるところから始めてください。各分布の詳しい計算は上記のリンク先で解説しています。さらに体系的に学びたい方向けに、レベル別のおすすめ書籍を統計学・実験計画法のおすすめ本まとめで紹介しています。

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