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正規分布表の見方|上側確率の読み方とExcelでの求め方

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この記事でわかること

  • 正規分布表の行と列の読み方と、表の種類(上側確率・累積確率)の見分け方
  • 規格外の確率を表で求める手順と、表から z を逆に引く方法
  • 表を使わずに Excel の NORM.S.DIST・NORM.S.INV で求める式

📌 前提知識:正規分布とは|確率密度関数とExcelで確率を計算する手順を読んでいると理解しやすくなります

工程の寸法データから、規格外になる割合を見積もりたい。QC検定の計算問題でも「正規分布表を用いて求めよ」と出てきます。手元にあるのは電卓と、数字がびっしり並んだ表だけ。z の値は計算できたのに、表のどこを見ればよいのか、出てきた数字が何の確率なのかが分からず、手が止まってしまう。そんな経験はないでしょうか。

正規分布表は、読み方の決まりさえ押さえれば数秒で引けます。この記事では、表の行と列の読み方、表の種類の見分け方、規格外の確率を求める例題、そして表を使わずに Excel で同じ値を出す方法までを追います。

正規分布表を使う場面

正規分布表は、標準正規分布(平均0・標準偏差1)で、ある値 z より外側に入る確率をまとめた表です。次のような場面で使います。

  • QC検定など、電卓と表だけで解く試験のとき。Excelが使えないので、表を引けることが前提です
  • 規格外になる確率をその場で見積もりたいとき。平均と標準偏差が分かっていれば、表で不良率の目安が分かります
  • 教科書や規格の数値を確かめたいとき。1.96や1.645といった値がどこから来たのかが分かります

NG例(△)として、Excelが使える業務の計算では、表を引くより関数のほうが正確で速く済みます。表は小数第2位までの z しか載っていないので、丸めの誤差も出ます。Excelでの計算は後半で紹介します。正規分布そのものは前提知識の記事で扱っています。

正規分布表の読み方

まず z を求める

表を引く前に、測定値を z に直します(標準化)。z は、平均から標準偏差いくつ分離れているかを表す値です。

\[ z = \frac{x – \mu}{\sigma} \]

\( x \) は調べたい値、\( \mu \) は平均、\( \sigma \) は標準偏差です。Excelでは =STANDARDIZE(x,平均,標準偏差) で求められます。z の考え方はZスコアと偏差値の求め方|測定値の位置を標準化で詳しく解説しています。

行と列で z を探す

表は、行が z の小数第1位まで、列が小数第2位になっています。z=1.96 なら、「1.9」の行と「0.06」の列が交わるマスを見ます。次は表の一部です(数字は上側確率)。

z0.000.040.050.060.07
1.60.05480.05050.04950.04850.0475
1.90.02870.02620.02560.02500.0244
3.20.0006870.0005980.0005770.0005570.000538
3.40.0003370.0002910.0002800.0002700.000260

z=1.96 の上側確率は 0.0250、つまり標準正規分布で 1.96 より大きい値が出る確率は 2.5%です。左右両側を合わせると5%で、これが「95%信頼区間で ±1.96」の由来です。

表の種類を見分ける

正規分布表には、同じ z に対して違う確率を載せた種類があります。ここを取り違えるのは、よくある失敗の1つです。

表の種類載っている確率z=0 のマスの値
上側確率の表z より大きくなる確率 P(Z>z)0.5000
累積確率の表z 以下になる確率 P(Z≦z)0.5000(z=1.96 で 0.9750)
0〜z の面積の表0 から z までの確率0.0000

見分け方は簡単です。z=0 のマスが 0.0000 なら「0〜z の面積」の表、0.5000 なら上側か累積です。上側か累積かは、z が大きくなるにつれて数字が小さくなれば上側、1に近づけば累積です。品質管理の教科書やQC検定の付表では、上側確率の表が使われることが多いです。この記事の数字も上側確率です。

例題|シャフト外径が規格外になる確率

シャフト外径の工程は、平均 50.02mm・標準偏差 0.15mm の正規分布に従っています。規格は 50.00±0.50mm(上限50.50・下限49.50)です。規格外になる確率を、正規分布表で求めます。

手順1:上限側の z と確率

\[ z_{上} = \frac{50.50 – 50.02}{0.15} = 3.20 \]

表の「3.2」の行と「0.00」の列から、上側確率は 0.000687 です。上限を超える確率は約0.069%です。

手順2:下限側の z と確率

\[ z_{下} = \frac{49.50 – 50.02}{0.15} = -3.4667 \]

z がマイナスのときは、正規分布が左右対称であることを使います。z=−3.47 より小さくなる確率は、z=3.47 より大きくなる確率と同じです。表の小数第2位に丸めて 3.47 とし、「3.4」の行と「0.07」の列から 0.000260 を読みます。

手順3:合計する

規格外の確率は、上限側と下限側を足して 0.000687+0.000260=0.000947、約0.095%(1万個に約9.5個)です。

表では z を小数第2位に丸めたので、わずかに誤差があります。正確な値は 0.000951 です。工程の実力をこの確率で評価する方法は工程能力指数(Cp・Cpk)の計算とExcelでの求め方で解説しています。

表から z を逆に引く

「上側確率が5%になる z はいくつか」のように、確率から z を求めたいこともあります。このときは表の中から、目的の確率に近い数字を探します。

上の表の「1.6」の行を見ると、0.05 は「0.04」の列(0.0505)と「0.05」の列(0.0495)のちょうど間にあります。そこで z はその間の 1.645 とします。片側5%の検定や、片側の規格で使う 1.645 はここから来ています。

よく使う値をまとめると次のとおりです。

z上側確率使われる場面
1.6450.05(5%)片側5%の検定、片側の95%
1.960.025(2.5%)両側5%の検定、95%信頼区間
2.5760.005(0.5%)両側1%の検定、99%信頼区間
3.000.00135管理図の3σ管理限界の外側(片側)

片側と両側の使い分けは片側検定と両側検定の違い|使い分けと棄却域で整理しています。

Excelで表を使わずに求める

Excelが使えるなら、表を引く必要はありません。次の関数で、表と同じ値を丸めの誤差なしに求められます。

  • 上側確率 P(Z>z):=1-NORM.S.DIST(z,TRUE)(z=3.2 なら =1-NORM.S.DIST(3.2,TRUE) で 0.000687)
  • 下側確率 P(Z<z):=NORM.S.DIST(z,TRUE)(z=−3.4667 なら 0.000263)
  • 確率から z を求める:=NORM.S.INV(0.95) で 1.645、=NORM.S.INV(0.975) で 1.96

NORM.S.DIST の第2引数を TRUE にすると、累積確率(z 以下になる確率)が返ります。上側確率がほしいときは、1から引くのを忘れないようにします。標準化せずに元の単位のまま求めるなら、=1-NORM.DIST(50.50,50.02,0.15,TRUE) のように NORM.DIST を使います。

よくある失敗

  • 表の種類を取り違える。累積確率の表を上側確率として読むと、0.975 を「97.5%が規格外」と読んでしまいます。z=0 のマスで確かめます
  • 片側だけで規格外を判断する。両側に規格があるなら、上限側と下限側の両方を求めて足します
  • z がマイナスのまま表を探す。多くの表はプラスの z しか載っていません。左右対称を使ってプラスの側で引きます
  • 標準化を忘れる。測定値そのもの(50.50など)で表を引いても意味がありません。必ず z に直してから引きます

よくある質問

Q. 正規分布表と標準正規分布表は同じものですか?

A. ほぼ同じ意味で使われます。表は平均0・標準偏差1の標準正規分布について作られているので、正確には標準正規分布表です。ふつうの正規分布の確率は、z に直してからこの表で引きます。

Q. 表に載っていない z(小数第3位まで)はどうしますか?

A. 小数第2位に丸めて引くのが簡単です。より正確にしたいときは、前後のマスの値の間を比例配分します(例:1.645 は 1.64 と 1.65 の真ん中)。Excelが使えるなら関数で求めるのが確実です。

Q. z が 4 を超えるときはどうしますか?

A. 多くの表は z=3.9 程度までです。それより大きいと確率はとても小さく(z=4 で約0.00003)、表では引けません。Excel の =1-NORM.S.DIST(z,TRUE) で求めます。

Q. QC検定ではどう問われますか?

A. 規格外の割合(不良率)を求める問題でよく使います。平均と標準偏差、規格値が与えられ、z を計算して付表の正規分布表から確率を読む流れです。表の種類(上側確率か)を問題の付表で必ず確かめてください。

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まとめ

  • 正規分布表は、行が z の小数第1位まで、列が小数第2位。交わるマスが確率
  • 表には上側確率・累積確率・0〜z の面積の種類がある。z=0 のマスで見分ける
  • 例題では、上限側 z=3.20 で 0.000687、下限側 z=−3.47 で 0.000260、規格外は合計約0.095%
  • 確率から z を逆に引くと、上側5%は 1.645、2.5%は 1.96
  • Excelなら =1-NORM.S.DIST(z,TRUE) と NORM.S.INV で、表を使わずに求められる

まとめると、試験や手計算では正規分布表、Excelが使える業務では NORM.S.DIST・NORM.S.INV、という使い分けです。まず手元の表の z=0 のマスを見て、どの種類の表かを確かめるところから始めてみてください。

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