品質管理

狩野モデルとは|魅力的品質と当たり前品質

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この記事でわかること

  • 狩野モデルの考え方と、品質の5分類
  • 当たり前品質・一元的品質・魅力的品質の違い
  • 品質が時間とともに陳腐化する仕組みと、QFDでの使い方

📌 関連記事:品質の定義そのものは品質とは、要求品質を設計に変換する手法はQFDで解説しています

「機能をたくさん盛り込んだのに、顧客満足度は思ったほど上がらない」——製品開発でよくある悩みです。原因の一つは、満足度の上がり方が品質の種類によって違うことにあります。あって当然の品質を磨いても満足は伸びず、意外な品質こそが満足を生む。それを整理したのが狩野モデルです。

狩野モデルは、品質を「物理的な充足度」と「顧客満足度」の関係でとらえ、いくつかの種類に分類する考え方です。品質管理の研究者・狩野紀昭氏が提唱しました。この記事では、品質の5分類とその違い、品質が時間とともに変化する仕組み、そしてQC検定での問われ方までを整理します。

狩野モデルを使う場面

狩野モデルは、顧客満足を高めるために、どの品質を優先して作り込むかを見極めたいときに使います。次のような場面が代表的です。

  • 新製品の企画で、差別化につながる魅力的な品質を見つけたいとき
  • 限られた開発リソースを、どの品質に注ぐか判断したいとき
  • 顧客アンケートの結果を、満足度への効き方で整理したいとき

顧客の声を整理する段階で使い、その結果をQFD(品質機能展開)の要求品質の入力につなげるのが典型的な流れです。

品質の5分類

狩野モデルでは、横軸に「物理的充足度(その品質が満たされているか)」、縦軸に「顧客満足度」をとり、品質を次の5つに分類します。

品質要素満たされたとき満たされないとき
当たり前品質満足は上がらない強い不満スマホの通話が切れない
一元的品質満足不満燃費の良さ・価格
魅力的品質大きな満足不満にはならない想定外の便利機能
無関心品質影響なし影響なし気づかれない内部仕様
逆品質かえって不満満足過剰で使いにくい機能

とくに重要なのが最初の3つです。当たり前品質は、あって当然・なければ不満を招く品質。満たしても満足は伸びませんが、欠けると致命的です。一元的品質は、充足するほど満足が比例して上がる品質。魅力的品質は、なくても不満にはならないが、あれば満足が大きく跳ね上がる品質で、差別化の源泉です。

現場での活用例:コードレス掃除機の企画

ある家電メーカーが、新しいコードレス掃除機を企画したときの例で考えてみます。顧客アンケートで集めた要望を、狩野モデルで分類しました。

  • 当たり前品質:吸引力が使用中に落ちない、すぐ壊れない
  • 一元的品質:本体が軽い、運転音が静か、連続運転時間が長い
  • 魅力的品質:ゴミ捨てが自動でできる、スマホで充電残量がわかる

このメーカーは、当たり前品質(吸引力・耐久性)は競合と同等に確保したうえで、開発リソースを「自動ゴミ捨て」という魅力的品質に集中させました。当たり前品質をおろそかにすれば、どれだけ魅力的な機能を足しても不満が残ります。まず当たり前品質を満たし、その上で魅力的品質で差別化する——これが狩野モデルの実務での使い方です。

品質は時間とともに変化する

狩野モデルでもう一つ大切なのが、品質の分類は固定ではないという点です。登場時は魅力的品質だったものも、競合がまねて普及すると、やがて「あって当然」へと変わっていきます。

たとえばスマートフォンの高画質カメラは、かつては魅力的品質でした。今では一元的品質、さらには当たり前品質に近づいています。魅力的品質 → 一元的品質 → 当たり前品質という陳腐化が起きるため、企業は次の魅力的品質を生み出し続ける必要があります。

顧客の要望を集めて魅力的品質の候補を整理するには、言語データをまとめる新QC七つ道具の親和図法が役立ちます。

QC検定での出題ポイントと例題

狩野モデルは、QC検定2級・3級の実践編「品質の概念」で問われます。出題されやすいのは次の2点です。

  • 5分類(とくに当たり前・一元的・魅力的)の定義と具体例の対応づけ
  • 魅力的品質が時間とともに当たり前品質へ変化する品質の時間的変化

例題:次の説明にあてはまる品質要素を答えなさい。
「充足されていなくても顧客は不満を感じないが、充足されると満足度が大きく高まる品質」

解答・解説:答えは魅力的品質です。不足しても不満にならない点が当たり前品質・一元的品質との違いで、充足すると満足が跳ね上がる点が判別のポイントです。なお「充足されないと強い不満だが、充足されても満足は上がらない」なら当たり前品質、「充足度に比例して満足が増減する」なら一元的品質となります。定義の言い回しで見分けられるようにしておきましょう。

狩野モデルでよくある誤解

実務で狩野モデルを使うとき、次の誤解に注意してください。

  • 「魅力的品質を増やせば増やすほど良い」は誤り……当たり前品質が欠けると致命的な不満になるため、まず当たり前品質を満たすことが前提です。
  • 「分類は一度決めれば固定」は誤り……魅力的品質は普及とともに当たり前品質へ陳腐化します。定期的に見直す必要があります。
  • 「機能を足すこと=魅力的品質」は誤り……顧客が求めていない機能を足すと、かえって使いにくくなる逆品質になりかねません。

よくある質問(FAQ)

Q. 狩野モデルの5つの品質要素とは何ですか?

当たり前品質・一元的品質・魅力的品質・無関心品質・逆品質の5つです。物理的充足度と顧客満足度の関係で品質を分類します。

Q. 当たり前品質と魅力的品質の違いは何ですか?

当たり前品質は、満たされないと強い不満を招くが満たしても満足は伸びない品質です。魅力的品質は、なくても不満にはならないが、あれば満足が大きく高まる品質で、差別化の源泉になります。

Q. 魅力的品質はなぜ時間とともに変化するのですか?

競合が模倣して市場に普及すると、顧客にとって「あって当然」になるためです。魅力的品質は時間とともに一元的品質、さらに当たり前品質へと陳腐化します。

Q. 狩野モデルはどのように活用しますか?

新製品開発で顧客の要望を5分類し、当たり前品質を確保したうえで魅力的品質に重点を置きます。整理した要求品質はQFDの入力につなげます。

まとめ

狩野モデルのポイントを整理します。

  • 狩野モデルは、品質を物理的充足度と顧客満足度の関係で5つ(当たり前・一元的・魅力的・無関心・逆)に分類する考え方
  • 当たり前品質は欠けると致命的、魅力的品質は差別化の源泉。満足への効き方が品質ごとに異なる
  • 魅力的品質はやがて当たり前品質へ陳腐化する。次の魅力的品質を生み出し続けることが重要

狩野モデルは品質の概念の中心となる考え方です。品質の定義そのものは品質とは、見極めた要求品質を設計へ落とし込む手法はQFD、QC検定2級 実践編での位置づけはQC検定2級 実践編の攻略ロードマップで確認できます。

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