この記事でわかること
- 特性要因図の構造と4M(人・機械・材料・方法)の考え方
- 特性の決め方から大骨・中骨・小骨を展開する作成手順
- 洗い出した要因から「重要要因」を絞り込むコツ
📌 前提知識:QC七つ道具の全体像を押さえておくと位置づけがわかります
あるメッキ工程で不良率が先月から急に上がった——。原因を話し合う改善会議で「材料が悪い」「いや作業のやり方だ」と意見が飛び交うものの、論点が定まらず堂々巡り。こんなとき、要因を1枚の図に整理して全員で眺められるようにするのが特性要因図です。
魚の骨のような形から「フィッシュボーン図」とも呼ばれ、考案者の名前をとって「石川ダイアグラム」とも言われます。この記事では、特性要因図の構造と、4Mを使って要因を漏れなく洗い出す手順を、メッキ不良の例で具体的に見ていきます。
特性要因図を使う場面
特性要因図は、QC七つ道具の1つで、1つの結果(特性)に対して、その原因(要因)になりうるものを網羅的に洗い出して整理するときに使います。次のような場面で力を発揮します。
- 不良やクレームの原因をチームで洗い出したいとき
- ブレインストーミングで出た意見を分類して見える化したいとき
- 「抜け漏れ」なく要因を検討したいとき(思いつきだけで終わらせない)
大切なのは、図を作ること自体が目的ではなく、真の原因にたどり着くための地図として使うこと。洗い出した要因は、後でデータで検証して絞り込んでいきます。
特性要因図の構造
特性要因図は、3つの要素でできています。
- 特性(背骨の先)……解決したい結果。例:「メッキの膜厚不良」
- 大骨(要因の大分類)……背骨から斜めに伸びる太い枝。製造業では 4M を使うのが定番
- 中骨・小骨……大骨から枝分かれする具体的な要因。「なぜ?」を掘り下げて細かくしていく
4Mとは、要因を分類する4つの観点のことです。
| 分類 | 英語 | 例(メッキ工程) |
|---|---|---|
| 人 | Man | 作業者の習熟度・確認手順 |
| 機械 | Machine | 電流値の設定・装置の劣化 |
| 材料 | Material | めっき液の濃度・素材のロット差 |
| 方法 | Method | 浸漬時間・前処理の条件 |
測定(Measurement)を加えて「5M」、さらに環境(Environment)を足して「4M1E」「5M1E」とすることもあります。工程に合わせて分類を選んでください。
作り方の4ステップ(メッキ不良の例)
実際の手順を、メッキの膜厚不良を例に追ってみます。
- 特性を決める……右端に「膜厚不良」と書き、左へ向かう背骨(矢印)を引きます。特性は「何が・どうなった」を具体的に。
- 大骨に4Mを置く……背骨から人・機械・材料・方法の4本を斜めに伸ばします。
- 中骨・小骨を展開する……各大骨について「なぜ膜厚がばらつく?」をチームで出し合い、中骨(例:機械→電流値)→小骨(例:電流値→設定ミス/センサー誤差)と掘り下げます。
- 重要要因に印をつける……影響が大きそうな要因や、データで確かめたい要因に○や◎を付けて、次の検証対象を絞り込みます。
Excelやホワイトボード、PowerPointのどれでも作れます。最初から完璧を目指さず、まずは骨格を描いて、会議で意見を足していくのがコツです。
作成のコツと注意点
使える図にするためのポイントを挙げます。
- 「なぜ?」を繰り返す……小骨で止めず、もう一段「なぜそうなる?」を掘ると真因に近づきます
- 事実で書く……「たぶん」ではなく、現場で確かめた事実を要因にする
- 図で終わらせない……洗い出した要因は、データで裏づけて絞り込むことが大切です
絞り込みの段階では、パレート図で「影響の大きい要因」を見極めたり、散布図で「要因と特性の関係」をデータで確認したりすると、思い込みを排除できます。言語データの整理が中心なら、新QC七つ道具の連関図も併用できます。
まとめ
特性要因図のポイントを整理します。
- 特性(結果)に対し、4M(人・機械・材料・方法)で要因を網羅的に洗い出す図
- 手順は「特性を決める→大骨に4M→中骨・小骨を展開→重要要因に印」の4ステップ
- 図はゴールではなく、データで真因を絞り込むための地図として使う
特性要因図はQC七つ道具の一角で、QC検定3級でも頻出のテーマです。試験全体の出題範囲と勉強法はQC検定3級 攻略ガイドでまとめています。

