QC検定対策

信頼性工学とは|故障率・MTBF・MTTR・信頼度の求め方

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この記事でわかること

  • バスタブ曲線と故障率λの意味
  • 信頼度R(t)とMTBFの計算(ExcelのEXP関数)
  • 直列系・並列系の信頼度と、ワイブル分布の使いどころ
  • MTBF(故障から次の故障までの平均時間)・MTTR・MTTFの違いと、稼働率の求め方

📌 確率分布の基礎は 二項分布・ポアソン分布 でも扱っています。

「この製品、保証期間の3年間でどれくらい壊れるのか」。設計レビューでこう問われて、感覚ではなく数字で答えたい——信頼性工学は、製品が故障せずに動き続ける度合いを定量的に扱う分野です。

故障率やMTBF、信頼度といった指標は、言葉だけだと混乱しがちです。この記事では、それぞれの意味と計算方法を、電子部品の寿命を例にExcelの手順つきで整理します。

信頼性工学を使う場面

信頼性工学は、製品や部品が「どれだけ壊れにくいか」を設計段階で見積もるために使います。

  • 保証期間を決めるとき(期間内の故障確率を見積もる)
  • 保全計画を立てるとき(いつ点検・交換すべきか)
  • システム全体の信頼度を、部品の信頼度から積み上げて評価したいとき

故障の「起きやすさ」が時間とともにどう変わるかを押さえると、これらの見積もりがやりやすくなります。その全体像を表すのがバスタブ曲線です。

バスタブ曲線と故障率λ

故障率λ(ラムダ)は、ある時点まで動いていた製品が、次の単位時間で故障する割合です。これを時間軸で見ると、多くの製品は浴槽(バスタブ)のようなU字を描きます。

  • 初期故障期:使い始めに、初期不良で故障率が高い。だんだん下がる
  • 偶発故障期:故障率がほぼ一定。製品の「使用期間」にあたる
  • 摩耗故障期:寿命末期に、劣化で故障率が再び上がる

このうち、信頼性計算の中心になるのが、故障率が一定とみなせる偶発故障期です。

信頼度R(t)とMTBF(指数分布)

故障率λが一定の偶発故障期では、時間tまで故障しない確率(信頼度)R(t)は指数分布で表せます。

\[ R(t) = e^{-\lambda t} \]

ExcelではEXP関数でそのまま計算できます。EXPON.DIST関数を使う場合は故障確率F(t)が返るので、1から引くとR(t)になります。

信頼度 R(t): =EXP(-λ*t)
別の書き方:  =1-EXPON.DIST(t, λ, TRUE)

平均故障間隔MTBF(Mean Time Between Failures)は、故障率の逆数です。

\[ \mathrm{MTBF} = \frac{1}{\lambda} \]

たとえばMTBFが10,000時間の電子部品なら、故障率は λ = 1/10,000 = 0.0001(1時間あたり)です。各使用時間での信頼度は次のようになります。

使用時間 t信頼度 R(t)=e^(−λt)故障確率 F(t)
1,000時間0.90480.0952
5,000時間0.60650.3935
10,000時間(=MTBF)0.36790.6321

注意したいのは、MTBF=寿命ではない点です。使用時間がMTBFに達した時点での信頼度は約37%。「MTBFまで必ずもつ」わけではなく、その頃には6割以上が故障している計算になります。

MTBF・MTTR・MTTFの違いと稼働率

MTBF=1/λ は、故障率λがわかっているときの式です。現場ではむしろ逆で、設備の故障記録からMTBFを出すことのほうが多いはずです。そのときに一緒に出てくるのが、MTTRとMTTFです。

指標意味求め方
MTBF(平均故障間隔)修理しながら使う設備で、故障から次の故障までの平均の稼働時間(長いほど良い)稼働時間の合計 ÷ 故障件数
MTTR(平均修復時間)故障してから直って動き出すまでの平均時間(短いほど良い)修理時間の合計 ÷ 修理回数
MTTF(平均故障時間)修理しない部品が、使い始めてから壊れるまでの平均時間(長いほど良い)動いた時間の合計 ÷ 故障した個数

使い分けは、修理して使い続けるものか、壊れたら交換するものかで決まります。成形機やポンプのような設備はMTBF、電球やヒューズのように交換で済ませる部品はMTTFです。前の節の「MTBF 10,000時間の電子部品」のように、部品の故障率から1/λを出す場面でもMTBFと呼ぶことは多いです。故障率が一定なら、MTBFもMTTFも式は1/λで同じです。

設備の故障記録からMTBFとMTTRを求める

射出成形機1台の、ある月の記録で計算してみます。稼働予定は720時間。その間に4回故障し、修理で止まっていた時間は合計12時間でした。

\[ \mathrm{MTBF} = \frac{720-12}{4} = 177 \]

\[ \mathrm{MTTR} = \frac{12}{4} = 3 \]

MTBFは177時間、MTTRは3時間です。MTBFの分子は、稼働予定から修理で止まっていた時間を引いた「実際に動いていた時間」にします。720時間をそのまま4で割ると180時間で、少し長めに出てしまいます。

Excelなら、B2に稼働予定(720)、B3に修理時間の合計(12)、B4に故障回数(4)を入れます。MTBFはB5に =(B2-B3)/B4、MTTRはB6に =B3/B4 と入れます。

稼働率(アベイラビリティ)はMTBFとMTTRで決まる

MTBFとMTTRがわかると、設備が動ける状態にあった時間の割合、つまり稼働率(アベイラビリティ)が求まります。

\[ A = \frac{\mathrm{MTBF}}{\mathrm{MTBF}+\mathrm{MTTR}} = \frac{177}{177+3} = 0.9833 \]

Excelでは、B5(MTBF)とB6(MTTR)を使って =B5/(B5+B6)。セルをパーセント表示にすると98.33%で、(720−12)÷720 と同じ値です。稼働率を上げる方法は、故障を減らしてMTBFを延ばすか、修理を早くしてMTTRを縮めるかです。

ここでの稼働率は、故障で止まった時間だけを見ています。段取り替えや速度の低下、不良まで含めた設備の実力は、設備総合効率(OEE)で見ます。

直列系・並列系の信頼度

複数の部品からなるシステムの信頼度は、つなぎ方で変わります。各部品の信頼度を R₁, R₂, … とします。

すべての部品が正常でないと動かない直列系は、信頼度の掛け算です。

\[ R_s = R_1 \times R_2 \times \cdots \times R_n \]

どれか1つでも動けばよい並列系(冗長化)は、全部が同時に故障する確率を1から引きます。

\[ R_p = 1 – (1-R_1)(1-R_2)\cdots(1-R_n) \]

ExcelではPRODUCT関数などで計算できます。先ほどの R(1,000時間)=0.9048 の部品を例にすると、次のとおりです。

直列3部品: =0.9048*0.9048*0.9048      → 0.7408
並列2部品: =1-(1-0.9048)*(1-0.9048)  → 0.9909

直列につなぐほど信頼度は下がり(0.90→0.74)、並列に冗長化すると上がります(0.90→0.99)。重要な機能を二重化する設計の効果が、数字で確認できます。

ワイブル分布で寿命のばらつきを表す

指数分布は故障率が一定の偶発故障期向けです。初期故障や摩耗故障まで含めて寿命を柔軟に表したいときは、ワイブル分布を使います。

\[ R(t) = e^{-(t/\eta)^{m}} \]

ηは尺度パラメータ(寿命の目安)、mは形状パラメータです。ExcelではWEIBULL.DIST関数で故障確率を出し、1から引きます。

信頼度 R(t): =EXP(-(t/η)^m)
別の書き方:  =1-WEIBULL.DIST(t, m, η, TRUE)
例(η=2000, m=1.5, t=1000): =EXP(-(1000/2000)^1.5) → 0.7022

形状パラメータmの値で、バスタブ曲線のどの時期かを表せます。m<1なら初期故障期(故障率が減少)、m=1なら偶発故障期(指数分布と一致)、m>1なら摩耗故障期(故障率が増加)です。

故障率や平均故障間隔を押さえたら、次は設備が実際にどれだけ動けているかを見ます。時間・性能・品質の3要素で測る方法は設備総合効率(OEE)とは|3要素の計算と保全で解説しています。

故障率の形を数値で確かめたいときは、寿命データをワイブル分布にあてはめます。手順はワイブル解析のやり方|寿命データからm・ηを求めるで解説しています。

10年保証のような長期の寿命を、短い試験で確かめる方法は加速試験とは|アレニウス則で寿命を見積もるにまとめています。

よくある質問

Q. MTBFとMTTFの違いは何ですか?

A. MTBFは、修理しながら使う設備の、故障から次の故障までの平均時間です。MTTFは、修理しない部品が壊れるまでの平均時間です。修理して使い続けるならMTBF、壊れたら交換するならMTTFを使います。

Q. MTBFはどうやって求めますか?

A. 実際に動いていた時間の合計を、故障件数で割ります。稼働予定720時間・修理12時間・故障4回なら (720−12)÷4=177時間です。故障率λがわかっているときは 1/λ でも求まります。

Q. MTBFが10,000時間なら、10,000時間は壊れないのですか?

A. いいえ。故障率が一定なら、MTBFの時点で故障せずに残っている割合は e^(−1)=約37%です。6割以上はそれまでに故障しています。MTBFは寿命の保証ではなく、平均の目安です。

Q. 稼働率はどう計算しますか?

A. MTBF÷(MTBF+MTTR) で求めます。MTBF 177時間、MTTR 3時間なら 177÷180=0.9833(98.33%)です。

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まとめ

  • 故障率λが一定の偶発故障期では、信頼度 R(t)=e^(−λt)、MTBF=1/λ で計算する(ExcelはEXP関数)
  • 修理して使う設備は MTBF=動いた時間÷故障件数、MTTR=修理時間÷修理回数。稼働率は MTBF÷(MTBF+MTTR)
  • 修理しない部品はMTTFを使う
  • 直列系は信頼度の掛け算で下がり、並列系(冗長化)は 1−(1−R)…の形で上がる
  • 初期故障や摩耗まで含めて寿命のばらつきを表したいときはワイブル分布。形状パラメータmで故障の時期がわかる

使い分けの一言:偶発故障期だけなら指数分布(λ一定)で十分、初期故障や摩耗まで表すならワイブル分布——扱いたい期間で分布を選びます。

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